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コラム

夏をすこしでも過ごしやすくするために

2014年7月17日

テーマ:建築について

コラムカテゴリ:住宅・建物

梅雨明け間近、今年もやっぱり夏がやって参りました。

「地球温暖化の影響で、昔より気温がずいぶん上がっているでしょう。エアコンはもはや必須ですよ」
わたしたち建築に携わる技術者の間でも、そんな風に語られることが多くなりました。

私の実家は松本市にありますが、私はエアコンがない家で育ちました。だからなのか、今でもエアコンは苦手です。
そもそも「30℃を超える日なんて1年のうちに何日あるか」という感じでしたから扇風機があれば十分でしたね。

確かに私が子供のころは35℃なんて最高気温はありあえなかった。エアコンもやっぱり必要性を感じてしまいます。

でも本当に気温が、以前に比べてずいぶん上がっているのか?

まず、このことを気象庁のHPで調べてみました。
(松本市)
私が生まれた1973年の8月の平均気温は24.8℃
その20年後の1993年8月は22.1℃、
昨年2013年8月は25.5℃とあります。

年によって当然違いがあるものの総じて『気候そのものは、そんなに暑くなってるわけじゃない』
というふうに私は読み取りました。

でもホント暑い!なぜそう感じるのか?

・電力を使って冷房するということは、電気を熱に変換して外に放出するということである
・エアコンの使用で室内は適温にコントロールできるが、その分外はものすごい熱気
・コンクリートやアスファルトなど蓄熱する性質の物が、町中にかなり多い
・建物に、軒の出やひさし、雨戸など、日除けをする部品が建物に圧倒的に少ない

これって、どれも私たち建築士のせいじゃない?って思ってしまいます。

☒ 暑ければエアコン付ければいじゃない
☒ 断熱?そこそこでいいんだよ。エアコンで調整すればそっちの方が快適だよ
☒ ひさしとかつけるとカッコ悪くなっちゃうし。日除けはカーテンでいいよ
☒ 軒の出は坪単価に関係ないから短い方がいい(建築コストが下がるので)
☒ なんといっても総2階はコストパフォーマンスに優れているから、下屋のようなつくりは面倒ね。耐震上も疑問だよね

そんなふうに考えたら電力を節約できるはずもないですし、暮らしやすい家・住みやすい地域には絶対になりません。


下屋スタイルは日除け有効

昔の家は、下屋(げや)といって平屋の部分が家をぐるっと囲っており、その軒の出によって、夏の日除けを兼ねていました。
夏は太陽高度がとても高いので、窓の上に50cn程の屋根やヒサシがちょこっとあるだけで、窓からの日射はかなり遮ってくれます。また家の周りには緑が豊富で、通風によって蒸暑をしのいできました。
ここ30年間くらいの間に家の形は圧倒的に変わってしまったのです。

ひさし+すだれ

ひさし+すだれ(勝手口)



「夏は、窓を通して直射日光をできるだけ室内に入れないこと」
まずはこれを出来るだけ取り入れてみて下さい。


高断熱住宅と呼ばれる、断熱性能に優れたお宅にお住いの方は、私の家の窓の開け方も参考にしてみて下さい。
夜間開けておいた窓は朝8時前にはすべてを閉じます。カーテンがついている箇所は閉じます。
このとき室温はおおむね25℃。
日中外気温の上昇と共に室温もじわじわ上がってゆきます。外気温が34℃くらいで室温29℃くらいまで上昇します。
窓をあけ、風を入れたい衝動に駆られますがそこはじっと我慢します。(ガマンできないときはエアコンをON)
そうして夕方気温が下がってきて、子供たちが帰ってくるころ、窓を開けます。
防犯上、夜間窓を開けておいても大丈夫な窓の選定も大事ですね。

断熱性能が普通の家と窓の開閉の仕方が全然違う。
実はこのことはあまり知られていないようです。
私の自宅もエアコンは付いていますが、夏の期間で稼働させるのはのべ20時間程度です。


ひさし+すだれ

よしず

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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