年上部下が出来が悪くても敬意を示せるのが本物のリーダー!?
ビジネスパーソンは、大切な時間を使って、
何を学ぶべきなのでしょうか?
もっと絞って言えば、これからの「知識社会」
において、何を学ぶべきなのでしょうか?
しかし、そのことを考えるためには、この知識
社会には、一つのパラドックスがあることを
理解しておかなければなりません。
知識社会とは、「知識」というものが価値が
失われていく社会であるということです。
なぜなら、知識社会においては、ネットや
メディアの普及によって、社会全体での情報
共有や知識共有が徹底的に進むからです。
ましてや、AIも加わることで、さもありなん
です。
そのため、様々な「専門知識」が、誰でも、
手間や時間やコストをかけずに、簡単に
手に入れることが可能になるからです。
実際、インターネットのサイトでは、
多くの有識者が、その専門知識を広く
公開するようになってきています。
また、法律や会計などの専門知識も、
同様です。
そのため、これからの社会においては、
言葉で表すことのできる「専門的な知識」
については、パソコン等を持っている人
ならば誰でも簡単に入手できるように
なっていきます。
それ故に、その結果として、これからの
知識社会では、単なる「知識」が価値を
失っていくというパラドックスが起こる
のです。
では、知識社会では、何が価値を持つ
ようになるのでしょうか?
それは、「職業的な智恵」です。
「職業的な智恵」とは、
例えば、スキルやセンス、ノウハウやテクニック、
直観力や洞察力など、ビジネスや仕事の現場で、
永年の「経験」を通じてしか学ぶことができない
ものであり、単に言葉で表すことができないため、
容易に伝達、共有することのできないものです。
これに対して、「専門的な知識」とは、言葉で
表すことができるため、あらゆる媒体を通じて、
容易に伝達、共有することのできるものです。
従って、これからの知識社会において
プロフェッショナルとして活躍するためには、
「言葉」を通じて、多くの「専門的な知識」を
身につけるだけでなく、「経験」を通じて
深みある「職業的な智恵」を身につけなければ
なりません。
では、どうすれば、「職業的な智恵」を
身につけることができるのでしょうか?
まず、「覚悟」を定めることです。
「職業的な智恵」は、「経験」を通じてしか
学べないという「覚悟」を決めなければなり
ません。
なぜなら、世の中には「幻想」が溢れかえって
いるからです。
本や雑誌の帯を見ると、
「誰でもスキルが身につく」とか
「これがプロのノウハウだ」といった言葉が
溢れかえっています。
それはあたかも、それを読むだけで高度な
スキルやノウハウが身につくといった
「幻想」が振りまかれています。
また、各種の資格専門学校の案内などを
見ても、 「資格を取ってスキル・アップ」
などの「売り文句」が目につきます。
学校で勉強し、試験に合格しただけで、
スキル・アップできるという「幻想」が
同じく振りまかれているのです。
しかし、それはどこまでいっても
「幻想」です。
例えば、欧米のビジネススクールに
留学して経営学修士を取得し、様々な
「意思決定」の手法についてどれほど
深く勉強したとしても、実際の経営の
現場において、現実の大きなリスクを
目の前に、重い責任を背負い、リーダー
としての進退を賭けて行う「決断」とは、
まったく違った世界です。
故に「意思決定」の手法についての
「知識」を身につけただけでは、経営の
現場での「決断」を行うための腹の
据わった「智恵」を身につけることは
不可能に近いのです。
同様に、意思決定だけでなく、ビジネス
におけるいかなるスキルもノウハウも、
仕事の現場での実際の「経験」を通じて
しか身につけることはできません。
だからこそ、プロフェッショナルの持つ
「職業的な智恵」に大きな価値がある
のです。
だからこそ、「職場」とは、その
「職業的な智恵」を身につけるための
「最高の修業の場」といえるのです。