条件付けが自分の可能性を阻む
日々のマネジメントにおいて突き当たる
壁は、目で見えそうで見えないものかも
しれません。
いずれにせよ、それを乗り越えていく
ことがマネージャーには、求められて
いるのだと思います。
そんな考えを抱きながら、企業の経営
に目を向けると
例えば、我々は、企業の経営や職場の
マネジメントにおいて、次のような
「逆説」に直面することはないだろうか?
1)なぜ、優れたマネジャーは、「雄弁」
よりも、むしろ「沈黙」によって、
深いメッセージを伝えることができるのか?
2)なぜ、意見を理路整然と語る「論理的」
なマネジャーが、社内を説得することが
できないのか?
3)なぜ、多くのマネジャーは、「直観力」
が大切であると分かっていても、それを
身につけることが難しいのか?
4)なぜ、「原因究明」によって問題の
原因を発見できても、それだけでは、
問題が解決しないのか?
5)なぜ、経営においては、「矛盾」と
見える問題を安易に解決すると、
企業の活力が失われてしまうのか?
6)なぜ、会議で「多数」のメンバーが
賛成する企画が、成功する確率が低い
のか?
7)なぜ、実行力のあるマネジャーが、
神経質なほど「細部」にこだわるのか?
8)なぜ、優れたマネジャーの技を
「真似」しようとすると、 若手社員は、
バランスを崩してしまうのか?
9)なぜ、豊かな「経験」を積んだ
マネジャーが、豊かな「智恵」を
身につけていないのか?
10)なぜ、「ベスト・チーム」を組織
したつもりが、不協和音の多い集団に
なってしまうのか?
11)なぜ、意のままに部下を動かそうと
すると、かえって、部下は動かなくなる
のか?
12)なぜ、一生懸命に部下を「教育」
しても、部下が「成長」しないのか?
13)なぜ、優秀なマネジャーの下で、
むしろ優秀な部下が育たないのか?
14)なぜ、優れたマネジメントは、
「サイエンス」を超えて、「アート」
と呼ぶべきものになっていくのか?
我々は、企業の経営や職場のマネジメント
において、一般の「常識」の逆とも思える、
こうした「逆説」に直面することがある。
こうした「逆説」に直面するたびに、
マネジメントとは、一般に論じられる
よりも、深い世界なのではないかという
思いがしてきます。
では、そう考えさせる「深い世界」とは
何なのでしょうか?
一言で言えば、それは「暗黙知の世界」
ではないかと思います。
「暗黙知」とは、 我々の中にある「言葉で
表せない知識」(tacit knowing)のことです。
この言葉の提唱者であるポランニーは、
こう言っています。
「我々が日々の生活や仕事において営む
知的な活動は、その豊かな「暗黙知」を
用いて行われている」と。
また、この「暗黙知」というのは、
別の言い方をすれば、知識を超えた
ところに存在する「智慧」と呼ばれる
ものではないでしょうか?
マネジメントの要諦は、論理的である
ことより、この暗黙知の中に存在して
いるのかもしれません。