相手の便利は自分の不便!?
ビルバルが教える経営の本質とは?
インド・ムガール王朝第三代皇帝
アクバルは戦場で誕生しました。
当時のインドは戦国時代であり、
学芸に親しむヒマなど全くなく。
武人中心の時代でもあった。
その反動か、皇帝アクバルは学芸に
関心が厚く、学者を尊敬していたと
いいます。
この皇帝の側近にビルバルという
面白い学者がいました。
そして、智者であったビルバルと
皇帝アクバルとの対話や逸話が沢山
残されています。
その逸話一つをご紹介したい。
宮廷に国中の賢人を集め、壁に一本の
線を引いてアクバルはこう言った
「誰か、この線に触れることなく、
それを短くできる者はいないか?」
と問うた。
その時、宮廷にいた賢人たちも皆押し
黙ったまま誰もで答えることが
できませんでした。
ここでビルバルの登場です。
この時、ビルバルがやったある行為
を見て宮廷内はどよめきました。
そして、皇帝が出した問いの本質を
見抜き、ビルバルがみごと正解した
のです。
ここで、問題です。
あなたならどう答えますか?
ここで、ヒントを出します
長い・短い、
大きい・小さい、
有名・無名、
大物・小物、
上手・下手、
うまい・まずい、
さて、これらに共通するのはなんだと
思われますか?
そうですね、すでにお気づきだと思い
ますが、すべて相対的な基準を持って
表されているということです。
つまり、絶対的な基準ではないという
ことがポイントです。
ここまでくれば、答えが分かるかも
しれませんが・・・・・。
だから皇帝が出した「短くせよ」
という問いに対しては、
「相対的に短くすれば良い」という
ことになります。
ですから、この問いを絶対的な基準で
考えると答えにたどり着くことは
不可能です。
ところで、ビルバルはどうしたかと
いうと皇帝が書いた線の横にもっと
長い線を引いたのです。
「な〜んだ、そうなの」と思う
かもしれませんが、それが正解です。
大事なのは、物事の本質を見抜く力を
もっているかどうかということです。
洞察力の重要性を示唆している逸話
とも言えるでしょう。
経営でも人生でも、リアルな場面に
おいて、絶対の世界と相対の世界が
存在しています。
たとえば、売上げや利益、社員数など
定量化できるものはすべて相対の世界。
他社との比較し、過去との比較に
おいて上を目指す。
だが、相対的なものだけを基準に経営
していては、いつまでも不安や恐怖
から逃れることはできません。
その基準だけを絶対視し、固執すれば、
物事の本質を見誤る可能性だって否定
できない。
すなわち、経営判断を見誤る可能性大
ということだ。
下手をすれば、最悪の結果を招くこと
だって否定できないかもしれない。
だとすれば、必要に応じて、
「絶対的な基準」と「相対的な基準」を
駆使し、バランスよく使い分け本質を
見抜く洞察力を養うことが大事では
ないでしょうか?