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鴇田誠治

遺言書作成と相続手続きのプロ

鴇田誠治(ときたせいじ) / 行政書士

社会保険労務士・行政書士 ときた事務所

コラム

遺言書はいつ書くのがベストなのか

2019年1月31日

テーマ:遺言書のこと

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 遺言書 作成遺言書 書き方

遺言書は元気でなければ書けません


遺言書というと、死期が迫ってから書くものであるとか、人生の総決算として書くべきもの、というイメージをお持ちの方がまだまだ多いようです。

しかし、これは完全な誤解です。

人間はいつ何があるかわかりません。

歳を重ねるごとに、残念ながら判断する力も徐々に衰えていきますし、文字を書くこと自体が負担になってくるなど、書くことがどんどん難しくなります。

ましてや、認知症になってしまったら遺言書は書けなくなります。

つまり、ご自身が元気な今が遺言書を書くタイミングなのです。

自分に万一のことがあっても残されたご家族が困ることがないよう、今まさに、遺言書の準備しておきましょう。

財産が少ないからこそ遺言書が必要です


財産争いのトラブルというと、テレビドラマにあるような資産家家族に繰り広げられるドロドロした争いを想像しがちですが、実際はかなり違います。

資産家のご家族では、相続人が受け取って納得できるほどの財産があることと、早くから専門家を交えて対策をしていますので、イメージとは反対にトラブルが起こりにくいのです。(もちろん例外はあります。)

例えば、資産10億円のうち1億円を相続するのと、資産1000万円のうち100万円を相続するのでは、取得する割合は「10分の1」で同じですが、得られる納得(満足)感は、明らかに前者のほうが大きいことでも分るでしょう。

相続財産が自宅の土地建物(評価額合計2000万円)、預貯金1000万円、相続人が子供3名であるとき、1000万円ずつ平等に分けようとしたら土地家屋を売却しなければなりません。

しかし自宅土地建物は長男家族が長年住んでいる、となると売却は難しく、平等に分けることも難しくなってきます。

遺言書で遺産の分け方をあらかじめ指定してあげることで、残されたご家族も安心して遺産を引き継ぐことができるのです。

遺言書は作りっぱなしではいけない


遺言書は一度書いてしまえばそれで完璧、というわけではありません。

遺言書を書いた後に、「介護をしてくれている長男の嫁に財産を残したくなった」など、ご自分の考えが変わったり、相続対策で余剰資金を収益物件(賃貸アパートなど)に転換したことで、財産の内容が変わったりすることも当然あるでしょう。

その場合には、ためらわずに、あらためて遺言を作成すればよいのです。

遺言を訂正するには遺言の方式でしなければなりません。

事情の変化や気持ちの変化は誰にでもあるのですから、遺言書は、財産の構成が変わったときはもちろん、ご自分の誕生日や結婚記念日などの区切りの時に、定期的に見直して、必要に応じて書き直していくこともまた大切なのです。

確かにその都度費用がかかることもあり得ますが、確実にご自分の意思を残し、家族が困らないようにすることが何よりも大切です。

家族仲がいいからと安心してはいけない


今は兄弟仲が良くても、それぞれの家族の事情が異なってきたり、所得に差が出てきたりすると、兄弟仲が気まずくなることもあります。

両親が健在の時はもちろん、片親になっても仲は良いからと言って安心してはいけません。

ご両親が亡くなったとたんに手のひらを反すように仲が悪くなってしまったという事例を私はたくさん見てきました。

「家族とはずっと仲良くしていきたい」と心底願っていたとしても、納得のいかない遺産の分け方に黙っているわけにはいかない。

遺産とはそういうものであることをあらかじめ理解しておくことが大切です。

遺言書は家族のお守り


このように、ご自身の相続と残されるご家族のことを考えたとき、遺言書は「家族のお守り」のような存在になってくれます。

まずはあまり堅苦しく考えすぎずに、現時点でのご自分の意思を紙に書き出してみてはいかがでしょうか。

法的なことなど、わかりにくい点は専門家のアドバイスを受けて遺言の完成度を高めていけばよいのです。

ご家族のことを考えれば、「いつか書こう」と先延ばしにするのではなく、ご自分が元気なうちに、ひとまず書いてみることが大事なのです。

この記事を書いたプロ

鴇田誠治

遺言書作成と相続手続きのプロ

鴇田誠治(社会保険労務士・行政書士 ときた事務所)

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