空き家をゲストハウスに活用できる?事業を始める前に確認したい7つの条件
相続した実家を売りに出したものの、問い合わせが入らない、内覧はあるが成約しないといった相談は少なくありません。
特に地方や郊外の空き家では、
「需要がない地域だから仕方がない」
「さらに価格を下げるしかない」
「古い建物を解体しないと売れない」
と考えてしまいがちです。
しかし、空き家が売れない原因は、価格だけとは限りません。
建物の状態、残置物、境界、接道、販売方法、情報の見せ方などに問題がある場合、単純に価格を下げても状況が変わらないことがあります。
今回は、地方の実家が売れないときに、値下げをする前に確認したいポイントと、売却以外の選択肢を解説します。
1.まず「なぜ売れないのか」を切り分ける
空き家が売れない場合、最初に確認すべきなのは、問い合わせが少ないのか、内覧後に断られているのかという点です。
問い合わせ自体が少ない場合は、次のような原因が考えられます。
売出価格が相場より高い
販売情報が十分に掲載されていない
写真が少ない、または建物の印象が伝わりにくい
購入後の利用方法が想像しにくい
不動産会社の販売エリアや顧客層と合っていない
建物内に多くの家財が残っている
土地や建物に不明確な点がある
一方、問い合わせや内覧はあるものの成約しない場合は、現地を見た段階で何らかの懸念を持たれている可能性があります。
例えば、雨漏り、傾き、設備の故障、庭木の繁茂、残置物、近隣環境、駐車スペースなどです。
売れない原因を確認しないまま値下げすると、本来改善できた問題を残したまま、売却価格だけを下げることになってしまいます。
2.売出価格が市場に合っているか確認する
所有者にとって実家は、家族の思い出が残る大切な場所です。
そのため、購入時の価格や建築費、これまでにかけた修繕費などを基準に売却価格を考えたくなります。
しかし、不動産の価格は、所有者が過去にかけた費用だけでは決まりません。
周辺の取引事例、土地の需要、建物の状態、接道条件、駐車場の有無などによって判断されます。
また、不動産会社の査定額が、そのまま売却できる金額とは限りません。
複数社へ査定を依頼した際、最も高い査定額を提示した会社を選びたくなりますが、その価格で実際に買主を見つけられる根拠があるかを確認する必要があります。
売出価格を見直す場合は、単に値下げ幅を決めるのではなく、周辺の成約事例や問い合わせ状況を確認したうえで判断すべきです。
3.家財を残したまま売るか、先に片付けるか
相続した実家には、家具、家電、衣類、食器、書類などが残っていることがあります。
家財を残したまま売却することも不可能ではありません。
ただし、物が多い状態では建物の広さや劣化状況が分かりにくくなり、購入希望者が片付けや処分の負担を大きく感じる可能性があります。
一方で、売却が決まる前に多額の費用をかけて、すべてを処分することが正解とも限りません。
家財処分費をかけても、その費用以上に売却価格が上がるとは限らないためです。
政府広報でも、空き家の売却や活用に向けて、家財の分別、遺品整理、廃棄やリサイクルを行うサービスの利用が紹介されています。
家財の量と処分費を確認し、
所有者が必要な物だけ先に持ち出す
内覧に支障が出る部分だけ片付ける
買主負担で残置物を処分する条件にする
売買価格から処分費相当額を調整する
といった方法を比較します。
4.古い建物を先に解体するべきか
築年数が古い空き家について、「建物があるから売れない」と考え、先に解体しようとする方もいます。
しかし、売却前の解体は慎重に判断すべきです。
建物を解体すると、古家を改修して使いたい購入者や、住宅以外の用途で活用したい事業者を対象から外してしまう可能性があります。
また、解体後に土地が売れなければ、解体費を負担したうえで、更地を管理し続けることになります。
一方で、建物の劣化が著しく、倒壊や外壁の落下などの危険がある場合や、建物がない方が土地として利用しやすい場合は、解体が有効なこともあります。
国土交通省は、空き家の基本的な対応として、建物を除却する「しまう」と、売却や賃貸などに利用する「活かす」という考え方を示しています。また、自治体によっては解体費用に関する補助制度が設けられている場合があります。
なお、住宅を解体すると、土地に適用されていた固定資産税等の住宅用地特例が利用できなくなる場合があります。
実際の税額や適用関係は土地ごとに異なるため、解体前に市区町村の資産税担当部署や税理士へ確認することが必要です。
5.売り方と買主の対象を見直す
地方の空き家は、一般的な中古住宅としてだけ売る必要はありません。
物件の特徴によっては、次のような購入者を想定できます。
自分で改修して居住したい人
セカンドハウスを探している人
移住を検討している人
店舗や事務所として利用したい事業者
宿泊施設や福祉施設として活用したい事業者
隣接地の所有者
土地を必要としている法人
投資用不動産を探している人
例えば、一般住宅としては不便に見える場所でも、駐車場が広い、建物面積が大きい、観光地に近いなど、事業利用では評価される可能性があります。
国土交通省も、住宅としての売却や賃貸だけでなく、用途を変えて店舗などに活用する方法を空き家対策の選択肢として示しています。
「誰にでも売る」のではなく、「この物件を必要とするのは誰か」を考え、写真、紹介文、販売先を見直すことが重要です。
6.売却できない場合は賃貸や事業利用も検討する
すぐに売却できない場合は、賃貸住宅として貸し出す方法も考えられます。
ただし、地方の空き家は、改修すれば必ず入居者が見つかるわけではありません。
賃貸を検討する際は、次の項目を確認します。
周辺に賃貸需要があるか
想定賃料はいくらか
修繕費や設備交換費はいくらか
改修費を何年で回収できるか
入居者募集や管理を誰が行うか
空室期間の費用を負担できるか
住宅としての賃貸需要が弱い場合でも、店舗、事務所、倉庫、福祉施設、宿泊施設など、事業用物件として活用できる可能性があります。
また、所有者自身が運営するのではなく、活用したい事業者へ建物を貸す方法もあります。
株式会社Blue Keyでは、所有者から貸与を受けた築50年近くの空き家を宿泊施設として整備し、2026年7月1日に「灯ゲストハウス石巻」の営業を開始しました。
このように、売却が難しい空き家でも、立地や建物の特徴に合った用途が見つかれば、別の形で活用できる場合があります。
ただし、事業利用には許認可、改修費、運営体制、地域需要の確認が必要です。活用案だけで判断せず、収支まで具体的に検討しなければなりません。
7.すぐに方針が決まらない場合は適切に管理する
売却、賃貸、解体について、家族の意見がすぐにまとまらないこともあります。
その場合、一時的に保有を続ける選択もあります。
ただし、「保有すること」と「放置すること」は異なります。
方針が決まるまでの間も、次の管理が必要です。
室内の換気と通水
雨漏りや外壁の点検
庭木や雑草の管理
郵便物の回収
施錠の確認
害虫や動物の侵入確認
台風や地震後の確認
国土交通省も、すぐに除却や活用ができない場合には、空き家を適切に管理する必要があると案内しています。遠方に住んでいるなど、自分で管理することが難しい場合は、空き家管理業者などを利用する方法があります。
管理をせずに時間が経過すると、建物の資産価値が低下し、将来の売却や賃貸がさらに難しくなる可能性があります。
相続した空き家の税制も確認する
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が適用される可能性があります。
対象となる建物の建築時期、相続後の利用状況、売却期限、売却価格などに要件があるため、すべての空き家に利用できる制度ではありません。
売却を長期間先送りしたり、賃貸や事業利用を始めたりすることで、適用関係が変わる可能性もあります。
売却と活用のどちらを選ぶ場合でも、実行前に税理士や市区町村へ確認することが重要です。
安易な値下げより、選択肢を整理する
地方の実家が売れない場合、価格を下げることが必要なケースはあります。
しかし、最初に値下げを行うのではなく、次の順番で検討することをおすすめします。
売れない原因を確認する
売出価格と査定根拠を見直す
家財や建物の状態を整理する
境界、接道、登記などの問題を確認する
販売方法と想定する買主を見直す
賃貸や事業利用の可能性を調べる
解体費、維持費、税負担を比較する
価格以外の問題を改善したうえで値下げする場合と、原因が分からないまま値下げを続ける場合では、結果が大きく異なります。
まとめ
地方の実家が売れないからといって、すぐに大幅な値下げや解体を行う必要はありません。
まずは、売れない原因が価格なのか、建物の状態なのか、販売方法なのかを整理する必要があります。
そのうえで、現状のまま売却する、家財を整理する、建物を解体する、賃貸する、事業用として貸し出す、適切に管理しながら保有するといった選択肢を比較します。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家や相続不動産について、一般的な売却査定だけでなく、賃貸、管理、店舗利用、宿泊施設などへの活用可能性を含めて検討しています。
「他社へ売却を依頼しているが、なかなか売れない」
「値下げや解体をする前に、別の方法がないか知りたい」
「売却と活用のどちらが適しているか判断できない」
このような段階でも、物件の状態や地域需要を確認し、今後の方針を整理することができます。
※本コラムは、空き家の売却や活用に関する一般的な情報をまとめたものです。個別の税務、相続、登記、建築、解体、許認可については、税理士、司法書士、建築士、行政機関などへご確認ください。


