スイスの偽「弁護士」に要注意
つい先日、9月27日にスイスで憲法改正の国民投票が2つ実施され、いずれも否決されるという結果となりました。
新聞記事にもなっていましたが、1つはスイスの対外的中立性についてその強化を目論んだもの(反対70.15%)、もう1つは食糧確保についてのもの(反対72.52%)でした。
いずれの投票もスイス国民のイニシアチブを発端として行われたもので、スイスの政治の文脈で出てくるイニシアチブという言葉は日本にない制度でもあり、すぐにぴんとくる人は多くはないのではないのでしょうか。
憲法制定以来条文が不動のまま今日に至っている日本と異なり、スイスでは憲法改正のハードルがはるかに低いと言えます。あくまで制度上保証されているということであって、頻繁に改憲がされている訳でもないのですが、憲法改正がされる可能性がはるかに高いように国の制度が設計されていると言えるでしょう。
今回の国民投票の発端となったのが、憲法改正のための発議を国民が行えるという制度「イニシアチブ」で、10万人のスイス人有権者の署名を18か月以内に集めることができれば憲法全体の改正か一部改正かを求める発議をすることができることになります(スイス連邦憲法第138条第1項、第129条第1項)。
今回の投票は2つとも当然のことながら一部改正を訴えたものでした。
また、一部の改正を求めるイニシアチブについては、一般的な改正を提案する形のイニシアチブか具体的な改正条文を提案する形のイニシアチブかありえるのですが(同第139条第2項)、今回はいずれも具体的な条文を提案していました。
こうしたイニシアチブは憲法上の制度で、実際の投票が行われるまでにいくにはある程度のハードルがありますし、現実に憲法改正となることもさらにハードルがあるとはいえ、こうした制度が存在していること自体が国民の憲法や政治参加への意識を高めることにもつながっているように思われます。
こうした言わば国民主体の法制度たるイニシアチブに対して国はどのように関与するかというと、10万人の署名の有効性確認をしたり、あるいは国会でイニシアチブについて反対、賛成を表明し、時には対案を提示するということが制度上定められています。
今回のイニシアチブについては対案の提示はなく、国会はいずれも否決を推奨するという態度を公式に示していました。
具体的な内容については各種新聞記事等の方がより詳しく分かると思いますので、そちらに譲ります。
今後もスイスの時事問題に絡めながらスイスの政治や法制度について簡単な記事を書いていきたいと思いますので御興味のある方は是非おつきあいください。


