スイスの偽「弁護士」に要注意
相続法において「遺留分(いりゅうぶん)」という概念があります。
御自身が相続人となる相続において、法定相続人であるのに遺言があったために全く遺産がもらえなかったという経験をされた方はいらっしゃいませんか。
自分もいくらかの遺産がもらえると思っていたのにもらえない状況となり、不公平感や理不尽さを感じられた方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
そのような場合に、法定相続人が遺産の内のいくらかを受け取ることを可能とする遺留分という制度が設けられており、日本でも、スイスでも民法に規定されています。
相続開始を知った時から1年間の時効、相続開始から10年間の除斥期間の縛りがありますが、もしその時間がまだ経っていないという方は、是非遺留分についての権利行使の意思を遺留分を侵害している他の相続人に示した上で遺留分侵害額調停又は遺留分侵害額訴訟いずれかを申し立てることで権利を確保することができますので、是非御検討ください。
さて本題に戻りますが、遺留分は割合で示されるもので、日本では、法定相続人のうち兄弟姉妹以外の法定相続人の相続において、兄弟姉妹尊属(上の世代)のみが法定相続人となる相続の場合には法定相続分の1/3、それ以外の相続の場合には法定相続分の1/2が各相続人の遺留分とされ、遺産に対してその遺留分の割合に当たる財産について各人に権利が保障されています。
スイス法でも、法定相続人のうち兄弟姉妹が遺留分権利者とならない点は日本法と同じなのですが、法定相続分同様、遺留分の割合についても日本法とは異なる割合が定められています。
まず、子についての遺留分は法定相続分の3/4、父母の遺留分は1/2、配偶者の遺留分も1/2となっています。
計算が細かくなるのでここでは詳細述べず、また後日機会があれば別のコラムで述べたいと思いますが、スイス法の法定相続分を前提として、配偶者がいる場合といない場合、競合する法定相続人が遺留分を有する相続人か否か等で、様々な遺留分割合の組み合わせが生じうるので、やや複雑で難解な面があります。
以上に述べた範囲で日本とスイスの違いについて簡単にコメントすると、スイスでは父母の法定相続分が1/4と、それが1/3である日本と比べて法定相続分についてはやや少ない設定ではありますが、父母のみが相続人となる相続に限っての話ですが、日本での遺留分が1/3なのに対して、スイスでは1/2となっており、この点では父母の権利保護が多少なりとも厚いと一応指摘できるかと思います。


