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新しく人を雇った後に、会社とのミスマッチを感じたり、雇った人が思ったような働きをしてくれないといった経験はないでしょうか。
特に今のような人手不足時代は、適性をじっくり見極めずに採用してしまったりして、そのようなことも起こっているようです。
採用後にミスマッチなどが判明した場合に、雇った人を解雇することは法的には困難です。
そのような状況に陥らないためには、試用期間をうまく運用することが重要です。
本採用前の有効な判断期間
使用者と労働者の間で労働契約(労働者が労働力を提供し、これに対して使用者が報酬を支払うことを内容とする契約)が成立した後に、労働契約を終了させる方法としては、
(1)解雇(使用者からの意思表示により労働契約を終了させること)
(2)合意解約(労使が合意をし、労働契約を終了させること)
が考えられます。
もっとも、(2)の合意解約については、労働者の同意が得られなければいけませんし、(1)の解雇については、就業規則などで定める解雇事由が存在するうえで、解雇がやむを得ないと認められる場合でなければ有効性が否定されてしまいます。
採用直後に判明した会社とのミスマッチや労働者本人の能力不足は解雇事由に該当しないことも多く、また、能力不足について裁判所は、使用者が能力改善のための手段を尽くしてもなお改善しない場合に限り解雇が認められるとしています。
そのため、採用後のミスマッチ、能力不足などに対応するためには、解雇はあまり有効でないといえます。
そこで有効な手段として、『試用期間』という方法があります。
会社にとっての損失を防ぐために
試用期間とは、採用の際に一定の期間を設け、その期間の満了時までにミスマッチや能力不足の恐れがあるか否かを見定めて本採用の可否を判断するというもので、正式に採用するかどうかの権利を使用者が留保します。
この試用期間については、事前に期間を定める必要があり、過度に長期な試用期間(たとえば、1年超とするものなど)については無効と判断されるおそれがあります。
もっとも、試用期間内では確定的な判断が下せないというケースも存在します。
そのような場合の備えとして、試用期間について『延長することができる』との規定を当初の契約に盛り込み、確定的な判断ができない場合には試用期間を延長することで、より時間をかけて、本採用をするかどうかの判断が可能になります。
ただし、試用期間を延長しても、やはり本採用の基準に達していないため解雇という手段を選択する場合、解雇事由が合理的でないと判断されたら解雇は無効になりますので、注意が必要です。
ミスマッチや能力不足の人材を採用してしまうことは、会社にとって大きなマイナスとなります。
試用期間をうまく活用して、適切な採用につなげていきましょう。