懲戒解雇の処分を行うには労働基準監督署への申請認定が必須?
介護事業所の労働環境は、他の業界と比較すると長時間労働や過重労働等の諸問題を抱えていることが多く、労働基準法を守れていない事業所も数多く存在しています。
そして近年は、大手企業の長時間労働問題が引き金となった自殺や過労死がクローズアップされており、政府としては労働環境の改善に取り組まなければいけません。
この違法な長時間労働を取り締まるために、罰則付きの残業規制が設けられるとの報道も発表されています。
また、長時間労働や未払い賃金などを監督する労働基準監督官が来年度には100人増員されるようです。
労働基準監督官は強制的に“立ち入り調査”する権限を持っており、事業所が労働基準法等の法律に違反していないかを調べられます。 調査で法律違反をしていることが判明すれば、「司法警察官」として逮捕・送検できる権限も持っています。
立ち入り調査に入られても慌てないように、調査基準を見ていきましょう。
労働基準監督官の増員により、今後は調査件数も増えることが予想されます。
これまで調査を受けたことがない介護事業所にも、調査が指名される可能性は大いにあります。
介護事業所が立ち入り調査で指摘を受ける内容としては、主に次のようなことが挙げられます。
賃金がタイムカード通りに支払われていなかった
労働者が10名以上いるのに就業規則が作成されていない、または届出されていなかった
8時間以上の労働時間がある場合に1時間以上の休憩を取らせていなかった
「36協定」の作成、届出のないまま時間外労働をさせていた
法定労働時間を超える時間外労働があるにもかかわらず、適正な割増賃金が支払われていなかった。
入社時や1年ごとの定期健康診断が実施されていなかった
即日解雇した労働者に解雇予告手当を支払っていなかった
月間100時間を超えた時間外労働をさせていた など
介護業界は人出不足であり、スタッフ一人ひとりの負担が大きくなってしまうでしょう。
早朝から深夜までの勤務を強いられたにもかかわらず、「社員には残業手当がつかない」や「すべての労働を込み込みにして給与を支払っているので、残業手当として支給しない」といったことをしている事業所もあるといいます。
今回の労働基準監督官の増員は、労働環境を適正なものへと見直すいい機会になります。
目先の利益も大事ですが、これからは大切な人材を損失しないために長期的な視点に立って介護職員の処遇を改善し、介護業界を未来ある業界へと導く必要があるのではなのでしょうか。
介護事業最前線