エアコンのメーカー愛着から生まれるメリット
家庭用エアコンのカタログを見ていると、選定の目安となる“部屋の広さ”ごとに多種多様なモデルがズラリとラインナップされ、どれを選べばいいのか私も正直迷うことがあります。グレードによって、省エネ性や搭載機能はさまざまですが、何を重視するのかを明確にすれば、エアコン選びもスッキリしてくるはずです。そこで、高い省エネ性をうたったエアコンの意外な盲点についてお話ししたいと思います。
省エネ性が高くなるにつれ多機能に
家庭用エアコンは、省エネ性の高さとともにグレードもより高級なものになっていきます。それは省エネ機能だけでなく、盛りだくさんの便利機能も加わってくるのです。しかし、設置する部屋の用途に対し、それだけ多くの機能がはたして必要なのか、よくよく吟味してください。使用頻度の高い空間には、機能性の充実に伴った快適さをお楽しみいただけるでしょう。しかし「冷暖房さえ機能してくれれば」という方には、オーバースペックとなりがちです。実は、多機能機種にはお含みおきいただきたい独特の故障リスクがあります。
多機能ゆえにありがちな故障リスク
それは、冷暖房機能に全く問題がないのに、別の機能の不具合が原因で異常停止してしまうケースです。一般住宅ならそんなトラブルが生じても、エアコンのついている他の部屋へ一時的に移動すれば大丈夫なのかもしれません。しかし、最近ではリビング・ダイニング・キッチンの間取りを広く取られているところも多く、生活拠点の空間が万が一の際はどう対応されるのかと思うと心配になります。そんな多機能機種が、あなたの期待通りの省エネ性をはたして発揮してくれるのでしょうか?
見落としがちな省エネ性の算出基準
各エアコンメーカーのカタログには期間消費電力量が表示されており、これが省エネ性の目安となっています。詳しくは、一般社団法人 日本冷凍空調工業会の下記サイトでご確認ください。
https://www.jraia.or.jp/product/home_aircon/e_saving_energy.html
この算出基準、皆さんはご存知でしたか?
私が意外に思う基準は、冷暖房の期間とその時間なのです。
●期間:冷房期間5月23日~10月4日/暖房期間11月8日~4月16日
●時間:6:00~24:00の18時間
皆さんに「毎日18時間、冷暖房をこれだけの期間に渡って使い続けますか?」と私はお聞きしたいです。私の知る限り、この条件に当てはまる方はそうそうおられません。電気代の安さに関する情報もこの値が基準のはずですので、皆さんの実態に即したものとは言い難いように思います。それなら、省エネ性の高い多機能機種を選ばなくても、省エネ基準を満たしたシンプルなエアコンで十分なのかもしれません。
省エネ性や電気代の安さがカタログや広告で目を引きますが、そうした盲点もお含みおきの上、屈託のないエアコン選びをしていただければ幸いです。