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今週のJR(塾ジイreview)【指導者編】 ー伝える力から、“伴走する力”へー

久保克己

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テーマ:11月模試の準備と振り返り

保護者の信頼に応える【教務力】とは…

保護者が“指導者を信頼して頼る”ということ

今週の保護者編では、11月の模試に向けた家庭での支援について考えた。子どもには前向きな声かけをしながら、保護者自身は学校や塾の先生を信頼し、必要なときには相談し、分からないことは遠慮なく尋ねる。そして、望ましい結果だけでなく、思うような結果にならなかった場合も想定しておくことが大切じゃと伝えた。
今週のJR(塾ジイreview)【保護者編】ープラス思考とマイナス思考を使い分けよ!ーhttps://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5241235/
では、保護者から信頼され、相談を受ける立場にある指導者は、その期待にどう応えるべきなんじゃろうか。単に勉強を教え、模試の結果を伝えるだけでは十分とは言えん。生徒の状況を把握し、保護者の不安を受け止め、必要な情報を整理して、具体的な行動につなげる。そこまで担うことが、これからの指導者には求められるんじゃないじゃろうか。

教務力を構成する三つの力

わしは以前から、教務力を「伝達力」「情報力」「伴走力」という三つの要素で考えてきた。
「伝達力」とは、授業内容や学習方法、取り組むべき課題を、相手に分かる形で正確に伝える力じゃ。指導者が理解していることと、生徒が理解できることは同じではない。相手の理解度に合わせ、伝え方を工夫する必要がある。
「情報力」とは、必要な情報を収集し、整理し、活用できる形で提供する力じゃ。生徒の成績や学習状況、模試の結果、授業で扱った内容などを踏まえ、今何が必要なのかを判断する。
そして、「伴走力」とは、生徒や保護者の状況に寄り添い、目標に向かって継続的に支援する力じゃ。
もちろん、この三つは独立した能力ではない。正しく伝え、情報を整理し、相手の状況に合わせて実行につなげる。それぞれが連動して、初めて教務力として機能するんじゃよ。

これから重要度が高まる伴走力

この三つの中で、今後ますます重要度が高まると考えておるのが「伴走力」じゃ。知識や解法を伝えるだけなら、教材や映像授業など、さまざまな手段がある。しかし、生徒がどこでつまずいているのか、何に不安を感じているのかを把握し、その状況に応じて支援することは、指導者の重要な役割じゃ。
例えば、9月、10月の模試で思うような結果が出なかった生徒に対して、「もっと頑張れ!」「ヤル気を出せ!」と声をかけるだけは、次の行動にはつながらんことがある。
答案や成績表を分析し、何が課題なのかを明らかにする。そして、11月の模試までに取り組むべき作業を具体化し、進捗を確認しながら必要に応じて作戦を修正する。
生徒の不安や悔しさを受け止めることも忘れてはならん。気持ちに寄り添うことと、具体的な作業を指示すること。その両方が「伴走力」なんじゃよ。
「塾ジイの部屋」23 ー不安なままでも、前に進めるー
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5241081/

生徒・保護者・教科担当者をつなぐマネジメント

ここで、もう一つ考えておきたいことがある。「伴走力」とは、指導者が生徒一人ひとりに寄り添うだけの能力ではないということじゃ。
クラス担当者であれば、生徒、保護者、そして担当クラスの教科担当者をつなぎ、それぞれが同じ方向を向いて取り組めるようにマネジメントする力も必要になる。
生徒に対しては、学習状況や心理面を把握し、取り組むべき課題を明確にする。
保護者に対しては、成績や学習状況を適切に説明し、不安や疑問を受け止める。希望的な見通しだけでなく、厳しい結果になった場合の選択肢も共有し、家庭と塾が協力できる関係をつくる。
教科担当者に対しては、生徒の模試結果や学習課題を共有し、指導方針や優先順位をすり合わせる。各教科がそれぞれの判断で課題を増やすだけでは、生徒の負担が大きくなることもある。クラス全体の状況を把握し、必要な情報を共有しながら、指導の方向性を整えることが重要なんじゃ。
つまり、クラス担当者は単なる連絡係ではない。生徒・保護者・教科担当者をつなぎ、学習指導全体を動かしていくマネジメント役でもあるんじゃよ。

情報力とは、これまでの情報を整理する力でもある

さて、教務力の三要素のうち、もう一つ、「情報力」についても考えてみたい。
「情報力」というと、新しい情報を収集し、生徒や保護者に提供することに目が向きがちじゃ。しかし、わしが重視しているのは、それだけではない。これまでに提供してきた情報を、いかに整理するか。そして、生徒自身にも整理させ、活用できる状態にすることじゃ。
例えば、これまでの授業で扱った内容、配布した教材、宿題として出した問題、模試の答案や分析結果、夏休みの講習や日曜日の特別授業、その他特訓授業で学んだこと。生徒の手元には、すでに多くの情報(教材やプリント等)が蓄積されておるはずじゃ。
それらを整理しないまま、新しい問題集や教材を次々に与えても、十分に活用できるとは限らん。
11月の模試に向けても、まずは9月、10月の答案や成績表を見直す。これまで何を学び、何ができるようになり、何がまだ不十分なのかを整理する。そのうえで、夏休みの講習教材なども活用し、今取り組むべき課題を選ぶ。情報を新たに与えるだけでなく、すでに与えた情報を使える形に整理する。さらに、生徒自身が自分の学習履歴を振り返り、必要な情報を取り出せるようにする。これも指導者の大切な仕事なんじゃよ。

発信した情報に責任を持つ

ここで、わしが長年、指導者として、そしてサービス提供者として大切にしてきた考えを伝えておきたい。
「発信した情報(授業関連も含めて)に責任を持たなければならない」
これは、わしの座右の銘でもある。
授業で説明したこと(指示した習得事項や宿題、配布したプリント等)、学習方法として伝えたこと(「これは入試に出るから暗記せよ!等)、保護者に説明したこと(「この講座を受けなければ合格は厳しいですよ!」等)。指導者が発信した情報は、生徒や保護者の判断や行動に影響する。
だからこそ、伝えっぱなしにしてはいかん。正しく伝わっているか。理解されているか。実際の学習に活用されているか。必要に応じて補足したり、修正したりする必要はないか。そこまで確認してこそ、発信した情報に責任を持つことになるんじゃ。特に、学習指導では、以前教えたことと、その後に伝えたことが矛盾していないか、生徒が混乱していないかにも気を配らなければならん。情報を整理し、継続的に確認することは、単なる事務作業ではない。指導そのものなんじゃよ。

信頼に応える指導者であるために

11月の模試は、指導者にとっても重要な節目じゃ。9月、10月からの成績の推移を確認し、設定した学習テーマがどの程度成果につながったかを検証する機会になる。
そして、結果が思うようでなかった場合には、なぜそうなったのかを分析し、次の指導方針を考えなければならん。生徒への声かけ、保護者への説明、教科担当者との情報共有も含めて、次の作戦を組み立てる必要がある。教務力とは、単に授業がうまいことだけを指すのではない。正確に伝える力、情報を整理して活用する力、そして生徒や保護者に寄り添い、関係者をつないで目標に向かう力。そのすべてが求められるんじゃ。
保護者には、学校や塾の指導者を信頼し、必要なときには頼り、相談してほしいと伝えた。だからこそ、指導者はその信頼に応える責任がある。
生徒の成績だけを見るのではなく、生徒の状況を理解する。新しい情報を与えるだけでなく、これまで伝えてきた情報を整理する。そして、発信した情報が実際に生徒の成長につながっているかを確かめる。 「伝達力」「情報力」「伴走力」この三つを連動させながら、生徒・保護者・教科担当者をつなぎ、チームとして受験を支えていく。これからの指導者には、そうした教務力がますます求められるんじゃないじゃろうか。

バックナンバー -教務力と学習指導を考える-

2022年

「塾ジイの部屋」2 → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5113081/
「模擬テスト活用レシピ」 → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5119681/

2023年

「塾ジイの部屋」番外編「成長の分岐点」 → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5151445/

2024年

「塾ジイの日記」13 ー学習効率を飛躍的に上げる秘策ー → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5155166/
「塾ジイの日記」22 ー予習を踏まえた復習の新戦略ー → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5158144/

2026年

今週のJR(塾ジイreview)【指導者編】ー「復習しろ!」のその先へー → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5237672/
今週のJR(塾ジイreview)【指導者編】ー過去問演習を、次の指導につなげるー → https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5239893/ 関連記事
今週のJR(塾ジイreview)【保護者編】ープラス思考とマイナス思考を使い分けよ!ー
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5241235/
「塾ジイのBAR」16 ー11月の模試、親はどう支える?ー
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5241008/
「塾ジイのBAR16」 ーサウンドバージョンー
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5241198/
「塾ジイの部屋18」ー模試を“自分専用の教材”に変える方法ー
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5237007/
「塾ジイの部屋19」-模試を“自分専用の教材”に変える方法②-
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5237541/
今週のJR(塾ジイreview)【保護者編】-模試を「受けて終わり」にしないために-
https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5237133/

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株式会社京進

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