「塾ジイのボイスコラム」8 -11月にピークを合わせよ!-
結果を求める前に、準備を支える
「いらっしゃい。おや、今夜は何やら考え込んでおるようじゃな」
「こんばんは、マスター。いやあ、うちの子、11月の模試が近づいてきてね。今度こそ、ええ成績を取ってほしいんだけど」
「なるほど。まずは一杯、飲んで落ち着くとするかの」
「そうだな。いつものハイボールを頼むよ」
「かしこまりました。今夜はゆっくりしていくとええ」
「ありがとう。……ところでマスター、11月の模試って、やっぱり大事なんだよな?」
「そうじゃな。9月、10月と受けてきた模試の結果を見ながら、この時期にどれだけ力を伸ばせておるかを確かめる、重要な機会じゃ」
「そう聞くと、親としても、つい期待しちまうんだよ。今度こそ合格圏に入ってくれないかな、ってな」
「その気持ちは分かる。じゃが、結果を期待することと、結果を求めすぎることは、少し違うんじゃよ」
「次こそ頑張れ」だけでええのか
「でもさ、模試が近づいてきたら、親としては『しっかり勉強しなさいよ』『今度こそ頑張りなさいよ』って言いたくなるんだよな」
「もちろん、励ますことは大切じゃ。じゃが、本人も頑張らなあかんことは分かっておる。そこで、もう一つ考えてほしいことがあるんじゃ」
「何だい?」
「9月や10月の模試の答案や成績表を、親子で振り返ってみることじゃよ」
「成績表は見てるけど、偏差値や順位を確認するくらいだなあ」
「それだけでは、もったいないのう。どんな問題を間違えたのか。なぜ間違えたのか。前の模試と比べて、改善したところはないか。そうしたことを見れば、次に何をすればよいか、少しずつ見えてくるんじゃ」
「なるほどな。点数を見て一喜一憂するだけじゃなく、次の勉強につなげるわけか」
「そのとおりじゃ。ただし、親が先生の代わりになって、細かな分析や指示を全部引き受ける必要はないぞ。本人が自分の課題に気づき、先生とも相談しながら、取り組むテーマを決めていく。その過程を支えてやればええんじゃ」
新しいことを増やす前に
「でも、模試が近づいてくると、何か新しい問題集でも買ってやらせた方がええんじゃないかと思うんだよ」
「新しい教材が必要な場合もあるじゃろう。じゃが、まずは手元にあるものを見直してみることじゃ」
「手元にあるもの?」
「9月や10月の模試で間違えた問題。これまで使ってきた問題集。それから、夏休みに塾の講習で使った教材などじゃな」
「そうか。夏休みに一生懸命やった教材も、まだ使えるわけだ」
「もちろんじゃ。特に、夏休みの講習で学んだ中学1・2年生の内容に弱点が見つかったなら、そこを復習することも有効じゃろう。ただし、全部を最初からやり直す必要はない。今の課題に関係するところを選んで取り組むことが大切なんじゃ」
「なるほどな。あれもこれもと手を広げるより、必要なところを見極めるわけだ」
「そうじゃ。何を勉強するかを決める前に、何が必要なのかを考える。そのひと手間が、限られた時間を生かすことにつながるんじゃよ」
親にできるのは、管理よりも応援
「話を聞いていると、親があれこれ指示するより、本人に考えさせる方がええみたいだな」
「そうじゃな。例えば、『11月の模試までに、何を重点的にやることにしたんだ?』と聞いてみるのもええじゃろう」
「なるほど。それなら、勉強の中身を全部指示せんでも、本人が考えているかどうかは分かるな」
「うむ。本人がテーマを決めて取り組んでおるなら、まずは見守る。困っているようなら話を聞く。勉強に集中できる環境を整える。親にできることは、いろいろあるんじゃ」
「ついつい『もっと勉強しなさい』と言いたくなるけど、まずは何をするのか聞いてみることにするよ」
「それがええ。本人が自分で決めたことに取り組み、成果を確かめる。その経験も、入試本番に向けて大切な力になるんじゃよ」
模試の結果は、次への手がかり
「それでも、やっぱり11月の模試では、合格圏に届いてほしいんだよなあ」
「そりゃあ、届いておるに越したことはない。じゃが、もしまだ届いておらんかったとしても、その結果だけで、これまでの努力を否定してはいかんのじゃ」
「そうか……。9月、10月から、どれだけ変わったかも大事なんだな」
「そうじゃ。これまでの最高偏差値を更新できておれば、それも努力が成果につながってきた可能性を示す、前向きな材料になる。ただし、数字だけで判断せず、答案の中身や成績の推移も合わせて見ることが大切じゃよ」
「なるほどな。11月の模試は、今の合格可能性だけを見るものじゃないんだな」
「うむ。そして、模試の結果は、この先の三者懇談で志望校や学習方針を相談するための大切な資料にもなる。だからこそ、結果を受け取って終わりにせず、何ができて、何が課題として残ったのかを振り返ってほしいんじゃ」
「模試の前に、何をやるかを決めておく意味も、そこにつながるわけか」
「そのとおりじゃ。準備の段階でテーマを決めておけば、模試の後にも、そのテーマがどれだけ改善したかを確かめやすくなる。準備と振り返りは、ひと続きのものなんじゃよ」
家族も受験チームの一員
「マスター、今日はよう分かったよ。今度は点数だけを気にするんじゃなくて、何を頑張るのか、本人に聞いてみることにするよ」
「それがええ。子どもが自分で考え、努力できるように支える。それも立派な応援じゃ」
「よし、帰ったら、まずは『次の模試に向けて、何をやることにしたんだ?』と聞いてみるか」
「おお、ええ心がけじゃな。ただし、尋問みたいにならんようにな(笑)」
「分かってるよ(笑)。マスター、今日はありがとう。ハイボールもうまかった!」
「それは何よりじゃ。11月の模試は大切な節目じゃが、一度の結果だけですべてが決まるわけではない。これまでの努力を振り返り、今やるべきことを定め、次の一歩につなげる。親御さんには、そんな視点で受験生を支えてほしいもんじゃな」
「ありがとう、マスター。また寄らせてもらうよ」
「いつでも待っとるぞ。気をつけて帰るんじゃよ」
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