「限界」は、自分で決めた「思い込み」

太田英樹

太田英樹

テーマ:コーチングコミュニケーション



成果ゼロの日々を変えた、勇気づけの言葉


34歳の頃、有料老人ホームの営業マンをしていました。
もともと、営業の仕事をしたくなくて、大学卒業時に当時もらっていた内定をすべて辞退して、医療福祉の世界に入ったので、30代で営業デビューするとは因果な運命だなと思ったものです。

一定の研修を受けて、ロープレを完璧にこなし、いざ営業に出たものの、まったくうまくいかない。
毎日夕方、事務所に戻るたびに上司から「今日はどうだった?」と聞かれ、成果なしと答える日々が続く。

今から20年近く前の話なので、住宅型有料老人ホームというシステムも認知されていないし、老人ホームの営業マンという存在も煙たがられていましたから、まともに話を聴いてもらえない。
門前払いは当たり前で、目の前で資料を破り捨てられたことや怒鳴られて追い出されたこともあります。
日々心が削られていく思いでした。

そんなある日の夕方、いつものように何の成果もなく事務所に戻り、上司に「どうだった?」と聞かれ、いつものように「成果ありません」と答えると、上司が、
「もうそんな報告いらないよ。たまには、がむしゃらに訪問しているうちに、日本海まで来ちゃいました。なので、今日は泊まって帰ります、っていう電話でもしてきてよ」
と。

怒るでもなく、呆れるでもなく、どちらかというと笑いながら言っている印象でした。
このとき、私の中で何かが弾ける感覚がありました。
当時のルールで、1日10件営業先をまわり、目標3件の相談案件をとってくることになっていて、案件がとれなくても18時くらいには事務所に戻っていました。

上司に言われた次の日からは、戻る時間は考えず、「1件でも多くまわる」という自分だけの目標をもって、営業に行きました。
門前払いされても、「はい!次いってみよー!」とすぐに次の行動。
それまで1日10件〜12件の訪問件数だったのが、その日以降18件〜25件まわるようになりました。

さすがに日本海までは行かなかったですが、必然的に事務所に戻る時間は遅くなり、事務所に戻ってから営業の記録を書いていたので、終電に間に合わず、会社近くのビジネスホテルに泊まることが多くなり、自宅にほとんど帰らなくなりました。

そして、徐々に成果も出始め、半年後には新規施設のチームリーダーを任されるようになりました。
どんな仕事でもそうだと思いますが、限界を超えてこそ成長します。
その「限界」は、自分で決めた「思い込み」です。

精一杯頑張ってるのに、これ以上頑張るなんて無理!
そう思ってしまいますが、おそらくもっとできるはず。
必要なのは、限界を超える「勇気」

今の私は、アドラー心理学の「勇気づけ」を推奨していますが、当時の私にとって、上司の言葉が勇気づけになったんだと思います。

管理職の皆さんは、改善指導や叱責をしたがりますが、必要なのは、チームメンバーを信頼して、勇気づけてあげることです。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチングコミュニケーション研修により、社内コミュニケーションの円滑化、人材定着率や顧客満足度向上、事業成長に繋げます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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