介護現場から学んだアサーティブの力

太田英樹

太田英樹

テーマ:コーチングコミュニケーション



互いを突き放すのではなく、納得できる方向へ


もう10年以上前の話ですが、顧問先の実地指導に立ち会った際に、行政の担当者から言われた言葉が今でも頭に残っています。

その事業所は、いわゆる田舎にあり、労働人口も少なく、雇用確保に頭を抱えていました。
そんな中でも、ギリギリ人員基準はクリアするように、私がサポートしていたんですが、実地指導で人員基準違反を指摘されました。

細かいことは書けないですが、何十回と実地指導に立ち会ってきた私からすれば、悪くても口頭指導、なんなら指摘なしと判断されてもいいレベルの内容だったんですが、出された判断は「期限付き文書指導」。
つまり、一定期間で改善できなければ行政処分の対象になる、ということ。

その判断自体に文句はないんてすが、ちょっと厳しいなとは思いました。
経験上、各行政で判断が異なることは理解していますし、本来法令遵守が原則なので、指摘を受けても致し方なしと言えます。
ただ、まったく同じ事例で、「改善努力は続けてくださいね」というレベルで口頭指導にもならなかったことがあったので、それを考えるとちょっと厳しい。

なので、少し意見させてもらいました。
「厳密に言えば人員基準を満たせていないことはわかっているし、募集もかけています。ただ、この地域の採用の難しさはご存知だと思います。多額の求人広告費がかけられる法人規模でもないですし、期限付きは厳しい」と。

すると、担当者は一言
「それをなんとかするのが経営努力でしょ」
アドラーを学ぶ遥か前のことなので、その一言にカチンときちゃいました!

「経営努力を持ち出すなら、介護保険法での根拠を示してください。そもそも、会社経営者がどんな努力をしているか、あなたは知っているんですか?あなたは会社経営をしたことがあるんですか?やったこともない人間が、実際にやっている人間に対して努力が足りないって、なぜそんな類いのことが言えるんですか?それは指導ではなく、ただの悪口ですよ」
とまで言ってしまいました。

上司が慌てて謝罪していましたが、当の本人は涼しい顔してました。
一部の悪質な法人経営者が不正して介護報酬の搾取をする事案が後を絶たないので、行政担当者の言いたいこともわかりますが、本来、官民協力して高齢社会を支えていこうという介護保険制度の趣旨から言えば、厳しく突き放すではなく、甘やかすでもなく、どうすればいいか協力して考える姿勢が必要だと思います。

今の私なら、もっと違う言い方ができたんですが、当時はそんな言い方しかできなかったので、そこはご容赦ください。
互いのダメなところを指摘し合うのではなく、どうすればみんなが納得できる方向へ進めるのか、アサーティブに意見が言い合える社会にしたい、そんな思いでコーチングコミュニケーションをやっています。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチングコミュニケーション研修により、社内コミュニケーションの円滑化、人材定着率や顧客満足度向上、事業成長に繋げます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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