あなた自身がどうしたいか。
年に1回集まって食事会をするのが、うちの親族の恒例行事になっています。
今年、某和食チェーン店の食べ放題に行ったときの話です。
母親が事前に予約していたので、その時間に店に入ると、部屋に通されました。
すでに2つの鍋がコンロにのっており、それぞれ2種類の出汁も入っています。
この食べ放題、出汁の種類が選べる仕組みで、
「鰹出汁」と「すき焼き出汁」で注文していたんですが、
どうも注文したものとは違う出汁が入っている。
鍋を変えてもらおうということで、すぐに店員さんを呼び、うちの母親が説明するも、
店員さんは事態を飲み込めていない様子。
それを見ていた妹が、母親に続いて要求を伝えるも、まだ理解できていない。
一度は「わかりました」と言って下がったものの、すぐに戻ってきて、
「すき焼き出汁と何でしたか?」
と確認する。
その確認をしてまた部屋を出て行ったんですが、またもう一度戻ってきて確認してました。
私は黙ってそのやりとりを見ていました。
ただでさえ店員さんはパニクってますから、私まで加わってしまうと、さらに伝わらない。
母親と妹は正当な要求をしているだけで、怒っているわけでもないですし、
店員さんもこちらの話を聞こうとしてくれています。
でも伝わらない。
じゃあ、どうしたらいい?
まず、目的を明確にする。
目的は、注文した出汁を持ってきてもらうこと。
そのために、相手に「伝わる」ことが必要になります。
そこで大事なことの一つ目
「共通言語を使う」
要求したのは「鰹出汁」と「すき焼き出汁」なんですが、
最初にうちの母親は、鰹出汁を「白だし」と表現していました。
この時点で店員さんはパニックです。
だって、「白だし」なんてメニューはないんですから。
すぐに妹が言い換えましたが、時すでに遅し。
一度パニックになったら、意図的に戻さない限りすぐには元に戻りません。
大事なことの二つ目は、
「窓口は一つにする」
最初に母親が要求を伝えた時点で、相手にとっての窓口は母親です。
相手の脳内では、「この目の前の女性の言葉を理解しよう」と処理が始まります。
そこへ、別の人間が割って入ってしまうと、
たとえ正しい情報であっても、別の情報処理が始まってしまい、マルチタスク状態になります。
スマホやパソコンでも、複数のアプリを立ち上げると処理速度が落ちたりしますよね。
それとまったく同じです。
大事なことの三つ目は、
「聴く体勢を作ってあげる」
処理できていないところに、イラついて次々と言葉を重ねていけば、
さらに処理能力が低下してしまいます。
なので、一旦落ち着かせる。
「もう一度最初から説明するので、落ち着いて聴いてもらえますか?」
この一言でいいんです。
私たちは、「言いたいことを伝える」はできるんですが、
「伝わるように伝える」はあまりできていません。
言いたいことを、自分の言葉で伝えて、
伝わらなくて、勝手にイライラする生き物です。
ちょっと伝わる工夫をするだけで、無駄な時間も省けるし、イライラしなくて済みます。