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コラム

「伝わる」ために

2023年7月3日

テーマ:コーチングコミュニケーション

コラムカテゴリ:ビジネス

年に1回集まって食事会をするのが、うちの親族の恒例行事になっています。

今年、某和食チェーン店の食べ放題に行ったときの話です。

母親が事前に予約していたので、その時間に店に入ると、部屋に通されました。

すでに2つの鍋がコンロにのっており、それぞれ2種類の出汁も入っています。

この食べ放題、出汁の種類が選べる仕組みで、
「鰹出汁」と「すき焼き出汁」で注文していたんですが、

どうも注文したものとは違う出汁が入っている。

鍋を変えてもらおうということで、すぐに店員さんを呼び、うちの母親が説明するも、
店員さんは事態を飲み込めていない様子。

それを見ていた妹が、母親に続いて要求を伝えるも、まだ理解できていない。

一度は「わかりました」と言って下がったものの、すぐに戻ってきて、
「すき焼き出汁と何でしたか?」
と確認する。

その確認をしてまた部屋を出て行ったんですが、またもう一度戻ってきて確認してました。

私は黙ってそのやりとりを見ていました。

ただでさえ店員さんはパニクってますから、私まで加わってしまうと、さらに伝わらない。

母親と妹は正当な要求をしているだけで、怒っているわけでもないですし、
店員さんもこちらの話を聞こうとしてくれています。

でも伝わらない。

じゃあ、どうしたらいい?

まず、目的を明確にする。

目的は、注文した出汁を持ってきてもらうこと。

そのために、相手に「伝わる」ことが必要になります。

そこで大事なことの一つ目

「共通言語を使う」

要求したのは「鰹出汁」と「すき焼き出汁」なんですが、
最初にうちの母親は、鰹出汁を「白だし」と表現していました。

この時点で店員さんはパニックです。

だって、「白だし」なんてメニューはないんですから。

すぐに妹が言い換えましたが、時すでに遅し。

一度パニックになったら、意図的に戻さない限りすぐには元に戻りません。

大事なことの二つ目は、

「窓口は一つにする」

最初に母親が要求を伝えた時点で、相手にとっての窓口は母親です。

相手の脳内では、「この目の前の女性の言葉を理解しよう」と処理が始まります。

そこへ、別の人間が割って入ってしまうと、
たとえ正しい情報であっても、別の情報処理が始まってしまい、マルチタスク状態になります。

スマホやパソコンでも、複数のアプリを立ち上げると処理速度が落ちたりしますよね。

それとまったく同じです。

大事なことの三つ目は、

「聴く体勢を作ってあげる」

処理できていないところに、イラついて次々と言葉を重ねていけば、
さらに処理能力が低下してしまいます。

なので、一旦落ち着かせる。

「もう一度最初から説明するので、落ち着いて聴いてもらえますか?」

この一言でいいんです。

私たちは、「言いたいことを伝える」はできるんですが、
「伝わるように伝える」はあまりできていません。

言いたいことを、自分の言葉で伝えて、
伝わらなくて、勝手にイライラする生き物です。

ちょっと伝わる工夫をするだけで、無駄な時間も省けるし、イライラしなくて済みます。

この記事を書いたプロ

太田英樹

介護業界をコーチングコミュニケーションで幸せにするプロ

太田英樹(株式会社インサイトハウス)

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