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競売申し立てによる情報公開とその拡散について

矢田倫基

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テーマ:競売

競売の申し立てがなされると、すぐに裁判所でそのことが公開されてしまいます。
その公開によって、自宅には郵便物が増えたり、訪問業者が訪ねてきたりします。
個人情報が厳しく取り締まられている今の時代、なぜこのようなことが起こってしまうのか、また、情報公開によって、どんな状況を生み出すのか、今日はそのあたりについてお話ししたと思います。

裁判所で行われる情報公開は主に3回です。

1回目は競売になったことを知らせる情報公開
2回目は競売参加者を募る情報公開
3回目は競売によって落札者が決まったことを知らせる情報公開


1回目の情報公開 「配当要求公告」

「配当要求公告」とは、不動産の利害関係にある人に対して、「競売でお金を受けとる権利のある人は裁判所に申し出てくださいね」ということを知らせる情報公開を言います。
実際はこの配当要求公告に申し出をする人はほとんどいませんが、どんな利害関係者が存在しているかは、裁判所も把握することが出来ず、当事者でない限り分りません。
そのため、裁判所はこのような手続きをとらざるを得ないのです。

京都地方裁判所では、毎週金曜日午前11時からこの配当要求公告が行われています。
下記に示す資料が実際のものです。

配当要求広告

不動産の所在地や氏名などが公開されていることが分ります。
ところで、この資料はいったい誰がみているのか・・・ということですが、主に士業や任意売却などを扱う会社がよく見ています。
法的な手続きや任意売却などをしませんかという営業を行うために、こういったツールを使います。
これによって、自宅にはたくさんの郵便物や訪問業者が増えるようになってしまいます。
夜遅くに訪れる訪問者などもいる為、この時が一番不安に感じる時期になるかと思います。
しかし、こういった状況は2,3週間程で止まるようになります。

<注意>
所有者の電話番号や勤務先情報を入手するため、訪問業者による郵便物の盗難が相次いでいますので、不信に思われる訪問者がいれば、すぐに警察に通報するようにしてください。

■2回目 競売参加者を募る情報公開

競売の申し立てがなされてから2~3ヶ月程経つと、裁判所は競売に参加する人を募り出します。
1回目の「配当要求公告」よりも詳細な情報で、室内の写真や誰が住んでいるのかといった調査記録、そして、不動産の査定書など公開されます。

競売評価書

これら情報は裁判所での閲覧だけにとどまらず、インターネット(BIT)でも公開され、誰にでも見られるようになってしまいます。

競売に参加する人は主に不動産会社になるのですが、この資料だけではなかなか値付けの判断はできません。
そのため、現地へ行って、全面道路や近隣の状況などを確認します。
そして一番重要なのが、どんな所有者が住んでいるのかということです。
そのため、自宅に訪ねてくる場合もありますし、近隣の人にどんな人なのかを聞き取る調査をする人もいます。
また、競売に参加しませんかと近隣にチラシを巻く競売入札代行業者と言われる不動産会社も現れることもあります。
競売になってしまったことがいっきに広まるのがこの時期になってきます。

3回目 落札業者が決まったことを知らせる情報公開

下記の資料が裁判所で公開されることになります。

競売落札業者

この段階になると、任意売却を行うことはできませんので、郵便物が送られてくることはまずありません。
しかし、入札で一番高値を示した落札業者が家に訪ねてきて、いつになったら家を出て行ってくれるのかを聞きに訪れます。

以上が、競売申し立てによる情報公開とその拡散についてのお話しでした。
競売の終期段階になればなるほど情報は拡散してしまい、それを避けることは出来ない状態になってしまいます。
任意売却を検討される方は、少しでもこういったリスクを避ける為にも、早い段階で対応をとられることが望ましいと思われます。

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矢田倫基
専門家

矢田倫基(不動産コンサルタント)

烏丸リアルマネジメント株式会社

首都圏・関西圏で1000件以上の経験をもとに最善の条件での売却を実現。不動産と法律のプロが幅広い選択肢を提案し法的手続きまで対応。心理学の知識を生かした「心のカウンセリング」で生活再建を支援する。

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