『代位弁済の手紙が届いた方へ』
金融機関によって代位弁済されると、一般的には担保にとらている不動産はすぐに競売の申し立てがされてしまいます。
しかし、これは一般論で、「代位弁済」=「すぐに競売になる」とは限らず、先日お話しさせてもらった事例でも、代位弁済されてから20年経ってから競売になってしまうということもあります。
この代位弁済の時期と競売の申し立て時期のタイムラグが生じるケースというのは、主に債務者が事業者の場合に多く見受けられます。
先日のお話しでは、たまたま代位弁済をした債権者(保証協会)が、後順位抵当権者であったことが要因で、タイムラグが生じましたが、そういった理由だけではなく、「事業者の再生を目的とした代位弁済」がなされた場合でも、すぐに競売にならないことがよくあります。
「事業者の再生を目的とした代位弁済」とは、担保にしている不動産をすぐに競売にして事業者としての再生にとどめをうつよりも、返済計画を再度見直し、少ないながらも少しづつでも返済をしてくれている方が、債権者にとって得策だという考えからくる代位弁済のことを言います。
事業者は一般個人の方と違い、一定の顧客さえいれば収入が確保できますし、また事業が回復すれば、また優良な事業者として変身することもこともあるからです。
このような事業再生を目的とした代位弁済は、債権者のみならず、事業者(債務者)にとってもメリットがあります。
それは競売を避けることができ、なおかつ毎月の返済額も見直され、結果、これまで厳しかった経営状態から少しは楽になれるという点です。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、代位弁済後の金利です。
代弁弁済前の金利と代位弁済後の金利は異なり、代位弁済後の金利は最低でも14%、高いところで20%としている金融機関もあります。
実は事業再生を目的とする代位弁済の恐ろしいのは、この金利の上昇なのです。
先日来られたご相談者は、平成6年に代位弁済されました。
当時、代位弁済された額は約1,700万円。
返済計画見直しによって、毎月8万円の返済をし、それを元金充当していくとう返済スケジュールでした。
そして、平成27年の約21年もの間、このスケジュールが変更されることなく続いた結果、恐ろしいほどの損害金が発生していたのです。
1700万円の借金だったものが、21年後、その元金の残高は200万円程にまで減っていたにも関わらず、損害金は2600万円程にまで膨れ上がっているのです。
<一部の債権額>
事業再生を目的とした代位弁済というのは、返済額が見直されるというメリットもありますが、実はその裏側で、恐ろしいほどの金利が加算されているのです。
そして、さらに注意しなければならいことがあります。
それは、代位弁済後の債務に対しての保証です。
金融機関はこの債務に対して新たに保証人や担保不動産の提供を求めてくることがよくあります。
もし、事業再生に失敗し、金融機関から返済を求められることとなったとき、事業存続だけの問題にとどまらず、個人としての再生や保証人としてたてしまった身内、知人にさえ影響を及ぼすこともあるのです。
くれぐれも、代位弁済後の債務に対して、個人保証や身内、知人を保証人としたりすることだけは避けた方がよいかと思います。
代位弁済後の事業計画は、最悪のケースも踏まえたうえで金融機関の方と調整を図ってください。
以上、『事業者 必読!「恐ろしい代位弁済後の金利」』のお話しでした。
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