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矢田倫基

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矢田倫基(やたともき) / 不動産コンサルタント

烏丸リアルマネジメント株式会社

コラム

20年以上も前の代位弁済・大阪信用保証協会による競売申し立て

2015年12月25日 公開 / 2016年9月1日更新

テーマ:代位弁済・期限の利益喪失

コラムカテゴリ:お金・保険

信用保証協会の代位弁済


代位弁済という行為は、債権者が債務者の債務不履行など契約違反が生じたときにとる手続きとなります。
また、代位弁済が行われるということは、債務者の方が継続した返済が不可能であると判断されるため、債権者は担保にとっている不動産をすぐに競売にかけるというのが一般的な流れになります。

しかし、先日当社に来られたご相談者はこの流れとは異なっていました。
自営業を営んでいたその方は、平成6年に営業不振に陥り事業融資を受けていた大阪市信用保証協会(現:大阪信用保証協会)によって代位弁済の手続きが取られました。
しかし、返済計画の見直しが行われただけで、競売の申し立てはなされなかったのです。

ご相談者は返済を継続していくので、競売にまではならないのだと、そう認識して今日までいました。
しかし、ここにきて、突然、保証協会から競売の申し立てを受けたのです。
この間、一度の滞納もなかったにも関わらず、なぜ、今になって・・・。

ご相談者は保証協会に問い合わせてみるも、「全額一括してお支払いただけなければ、競売を取り下げることはできない」の一点張りで、なぜそんなことになったのかよく理解できずにいました。

ご相談者が当社に来られたのは、競売開始決定の通知を受け取ってから1週間程経ってからでした。
面談の際に用意して頂いた資料を拝見すると、確かに平成6年に保証協会によって代位弁済が行われていました。

しかし、登記簿謄本を確認したところ、ご相談者の自宅不動産には他の債権者の抵当権が設定されていたのです。そして、平成6年当時の各抵当権者の債務残高を確認したところ、保証協会をはじめまだ債務が残っている状況。

【平成6年当時の債務状態】
1番:住宅金融支援機構 残高500万円
2番:年金福祉信用保証 残高200万円
3番:ニッセイ信用保証株 残高200万円
4番:大阪市信用保証協会(現:大阪信用保証協会)残高1700万円

ここで見てもらいたのが、保証協会の4番という立ち位置。
当時の各債権者の債務状況で、仮に保証協会が競売の申し立てをしても、それより優先してお金を受け取ることのできる債権者が3行もいます。
よって競売にしても保証協会は全くお金(配当)を受け取れることのできない立ち位置なのです。

また、ご相談者は1番から3番までの抵当権者に対しては、継続してローンを支払っていたため、それら債権者からは競売の申し立てをされることがなく、今日まで至っていました。

そして、近頃、保証協会より優先する債権者(1番、2番、3番)への返済が全て終わったというのです。
結果、平成6年当時の債務状況ががらりと変わったということになります。

【現在の債務状態】
1番:住宅金融支援機構 残高0万円
2番:年金福祉信用保証 残高0万円
3番:ニッセイ信用保証株 残高0万円
4番:大阪市信用保証協会(現:大阪信用保証協会)残高150万円+14%の利息(21年分損害金)

この債務状況になると、保証協会は競売にしてお金を受けとることのできる立ち位置となるのです。
ですので、保証協会は今になって競売の申し立てを行ったということです。

先日、無余剰による無意味な競売申し立ては裁判所が取り下げるというお話しをさせていただきましたが、無余剰であるかないかはその時の債務状況に関係します。
今回のように時が経てば、優先される債権者への返済残高も減ってくる訳ですから、後順位の債権者であってもいずれ配当を受け取ることのできる時期がやってくるのです。

今回の保証協会の競売の申し立てはまさにそうで、20年ものあいだずっとお金を回収できる時期を待っていたということになります。

ご相談者からすれば、代位弁済されたとはいうものの、これまで滞りなく返済を続けてきた訳ですから、なんで突然こんなことになってしまうのかという気持ちも凄く理解できます。

しかし、一度、代位弁済されてしまうと、金融機関などの債権者はいつでも競売の申し立てができることになってしまうのです。
無余剰で競売がなされなかったとしても、それは根本的な解決にはなっておらず、今回のような競売の申し立てがあるということも知っておいてください。

以上、「20年以上も前の代位弁済・大阪信用保証協会」のお話しでした。

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