お客さんをかぼちゃだと思ってはいけない【プレゼンに笑いをプラスするコツ17】
「あの人は知り合い同士の場所では本当に面白いんだけど、公的な場に出るとシュンとしちゃうんだよな」
ある懇親会の会場でこんな話をしてくれました。決して他人事ではなく、気心の知れた人同士だと楽しいお話ができるのに、仕事のプレゼンやスピーチは苦手という方もたくさんいると思います。私も今でこそ大道芸や講演で多くの人の前で話せていますが、最初は仲間内の反応とそうでない場所の反応の違いに大いに戸惑いました。仲間内同士で話す場合と、公的な場で不特定多数を対象に話す場合の違いと対策について、ちょっとだけ考えてみたいと思います。
3つの原因
仲間内以外の多くの人を対象にお話しするのを困難にする要因は主に以下の3つです。
1.緊張する
2.自分と相手で前提知識や共有している記憶が全く違う
3.仲間内よりTPOをわきまえる必要がある
緊張については、過去のコラムで多数取り上げていますので、ぜひご覧いただければと思います。
第5回 緊張するのは必ずしも悪くない
https://mbp-japan.com/kyoto/jugglertakyu/column/5015980/
第38回 プレッシャーを大きくしないためにできること
https://mbp-japan.com/kyoto/jugglertakyu/column/5024779/
このコラムでは、残り2つについて考えてみたいと思います。
仲間内しか知らないことは、内輪ウケになってしまいます
友達同士で、共通の知人の話題・一緒に行った旅行の思い出などで大笑いした話を全然違う人に話したら、全く楽しさが伝わらなかったという経験はお持ちではないでしょうか。私も今でもそういう失敗をします。
友達同士だと、共通の知人の個性や記憶に残る出来事など、さまざまなことを暗黙理に共有しています。しかし、別の人も同じように知人や出来事を知っているわけではありません。あまり知らないことを話されても、よくわからないことにはイマイチ共感しにくいですよね。他にも、自分が好きでやっている趣味についてめちゃくちゃ細かいことと語っても、相手がそもそもその趣味のことを知らなければ、なんかマニアックな話でついていけないな、で終わってしまいがちです。
「内輪ウケ」という言葉がありますが、前提知識が揃っている人同士だと楽しい話題でもそうでない人に楽しさが伝わらない状態がまさに「内輪ウケ」です。
さて、公的な場で話をするときの対策はシンプルです。
・興味・関心・前提知識ができる限り相手に合うように話す
ことです。たとえば
・込み入った話をする前に、イメージしやすいように基本的な用語の説明を補足で入れる
・一般的に関心があまりないと思われる話をする際には、相手の関心のありそうな話題から入り、本題に少しずつ移行する
といった工夫をすることで、より不特定の方にも話を楽しく聞いてもらえる確率が上がります。
下ネタや攻撃的な話題は極力避ける
仲間同士だと、人の陰口や下品な話題で大笑いすることもあるかと思います。ストレスを発散するためにそういう話題を出すことが全く許されない社会も息苦しいですが、公的な場でのプレゼンやスピーチでは極力そのようなネタは控えた方がいいでしょう。TPOに合わせた話をできることは大切な資質の一つです。プロのお笑い芸人ですら、意図せず批判を受けることがあります。様々な批判を受けつつ試行錯誤しながらギリギリの線を狙える人がプロとして残れるわけですが、芸人志望でもない限りあえてそのような危険な橋を渡る必要はないと思います。
コラムではまじめな人を装っている私ですが、実のところ、今だと倫理的に放送できないような昔のテレビの下品なネタが割と好きです。ですが、自分のプライベートでの感覚をそのまま持ち込んでしまうと多くの人に不快感を与えてしまうと自覚があるため、自分が仕事として人前に立つ際には、極力そのような話を控えるようにしています。話をする前に、プライベートの感覚のままで大丈夫か、ちょっと確認する習慣をつけるといいでしょう。
会話の輪の中心に入れなくても大丈夫、輪の中心の人はひと工夫でより楽しく
いつも楽しい会話の輪の中心にいる人が羨ましい、自分には才能がないからプレゼンやスピーチなんて無理、と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。このコラムで書いたような対策をすれば、誰でも楽しいプレゼンやスピーチは可能です。普段から会話の中心にいる人も、ひと工夫加えることでより多くの人に楽しさを伝えられるようになりますので、本番が差し迫った際にこのコラムのことを思い出してもらえればうれしいです。
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