お客さんをかぼちゃだと思ってはいけない【プレゼンに笑いをプラスするコツ17】
約1週間ぶりの更新になります。「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの41回目です。
これまで、プレゼンの中に笑いをプラスする方法についてコラムを投稿してきましたが、今回はそもそもプレゼンの中に笑いは必要なのだろうかという根っこの部分について考えてみたいと思います。
笑いがなくてもいいが、笑いがあってもいい!
プレゼン、もしくは勉強会や講座の講師を務めるときに、笑いを入れなくても成立するのではないかと思う方も多いと思います。私もそう思います。プレゼンは笑いがなくても十分に成立します。しかし、笑いを入れることにはメリットもあるので、せっかくプレゼンするなら笑いがあって楽しければもっといい、というのが私の基本的な考えです。
笑いを入れる3つのメリット
それでは、プレゼンの中に笑いを入れるメリットとは、一体どのようなものでしょうか。大きく3つのメリットがあると私は考えています。
・参加者から見た話し手の印象が良くなる
・話の印象が残りやすい
・お説教臭さを中和できる
1つずつ順番に見ていきたいと思います。
同じ話でも、その人の印象によって説得力が変わります
笑いがあって楽しい雰囲気づくりを心掛けてくれる人と、無愛想な人を比べたら、極めて厳粛な場面を除けば、大半の場合は楽しい雰囲気をつくってくれる人の方が印象が良いと思います。そして、たとえ全く同じテーマであっても、印象の良い人から話を聞いた方が共感度が上がります。学校の授業や会社の上司のことを思い出してみれば一目瞭然です。普段楽しくてよい印象を持っている先生や上司が改善するべきことについて諭してくれた場合にはすんなり納得することができる一方で、普段から悪い印象を持っている上司や先生ならば正しい事でも反発してしまうものです。話をするなら印象が良いのに越したことはありません。そして楽しく明るい印象を与えてくれるのが、まじめな話の中にポッと入るちょっとした笑いです。
楽しい話は記憶に残りやすい
笑いがあった方が、話の記憶が残りやすいという効果もあります。
精神科医の樺沢紫苑先生の『学びを結果に変えるアウトプット大全』によると、笑うことで脳波のα波が高まりリラックスできるので、記憶力や集中力が高まる効果が期待できるそうです。
ただ、一方で、笑いに関する学術研究をくまなく概観している『ユーモア心理学ハンドブック』によると、確かに笑いによって話の印象が残りやすくなるが、笑いのある場所の印象が残りやすくなる一方でそれ以外の場所の印象が薄くなってしまう可能性もあるようです。あまり話の本筋と関係のないところでウケを狙いすぎると、全体の印象がかえってぼやけてしまう可能性もあるので、気をつけたいところです。
参考文献
樺沢紫苑(2018)『学びを結果に変えるアウトプット大全』サンクチュアリ出版
マーティン(2011)『ユーモア心理学ハンドブック』北大路書房
落語のルーツは説教!?
笑いによってお説教くさくなってしまうのを中和し、まじめで耳の痛い話でも受け入れやすくなる効果もあります。実はこれは日本古来の知恵です。笑いのある話芸と言えば真っ先に思いつくのが落語ですが、落語のルーツは実は説教なのはご存知でしょうか?
忠告や教訓を目下の人に話すことを「説教」と言いますが、説教とは文字通り教えを説くという意味です。元々は仏の教えを口頭で説くことが説教の本来の意味で、そこから転じて現代のように目下の人に忠告するといった意味合いで用いられるようになりました。
説教を生業とする人を説教師と呼びます。安土桃山時代に生きた誓願寺の安楽庵策伝は、説教の中に笑いを交えて人々にわかりやすくお話をしたことで知られています。安楽庵策伝は、オチのある話を『醒睡笑』という書物にまとめました。醒睡笑の話を元にした演目が後に落語で演じられるようになったため、誓願寺は落語の祖と呼ばれています。
写真は誓願寺で、先日近くを通りかかった際に撮影してきました。仏の教えをわかりやすく説く説教もある意味ではプレゼンです。笑いを交えることによって楽しくまじめな話を伝えるのは、昔からある日本の知恵でもあります。
参考URL
http://www.fukakusa.or.jp/p016.html
次回は、名言やユーモアを引用しながらちょっとした笑いを生み出す方法について触れたいと思います。
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