アイコンタクトをする時は、ファンを見つけることから始めてみる【プレゼンに笑いをプラスするコツ40】

田久朋寛

田久朋寛

テーマ:ちょっとしたヒント(笑いあるプレゼン)



「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズも早くも40回目になりました。今回も本番への心理的ハードルを下げることをテーマに投稿します。

アイコンタクトが大事なのはわかるけど…


多くの人の前で話をする時に、他の人の視線が怖くて客席に顔を向けるのが怖いと感じる人も多いと思います。そして皮肉なことに、客席に顔を向けられずおどおどしている様子が伝わると、ますます客席からの視線が鋭く感じてしまうかもしれません。

巷のプレゼン本には、プレゼンをする時には参加者とアイコンタクトを取って堂々と振る舞いましょう、と書いてあります。アイコンタクトは確かに重要です。しかし、最初から簡単にできれば苦労はないですよね。

実はアイコンタクトにはちょっとしたコツがあります。日常会話で人と視線を合わせるのが苦手な人でもコツさえわかれば実践できます。私自身、普段会話をする時に威圧的な態度を取る人と目を合わせることが未だに苦手ですが、講演会ではきちんと客席に顔を向けてお話しすることができていますので、ぜひご安心ください。

まずはファンを見つけてみよう


「客席に視線を送る」と言いますが、よく考えてみるとかなり漠然とした表現です。まず、どの人に視線を送ればいいのでしょうか?この問いに対する私の考えは明確です。

・最初は、自分の話に肯定的にうなずいてくれる人に視線を送ってみる

緊張していると、目の前の人がみんな批判的なのではないかと取り越し苦労をしてしまいます。しかし、第36回で紹介したように、実際には自分の話を最初から好意的に受け止めてくれる人が少なくとも数人は必ずいます。もしかしたら身内や友達かもしれませんが、それでも全く問題ありません。熱心にお話を聞いてうなずいてくれる方がいたら、最初はその人とアイコンタクトを取って呼吸を合わせる感じでお話ししてみてください。不思議なもので、たった一人でも好意的に話を聞いてくれる人とリズムがあってくると、会場全体に明るい雰囲気が伝搬していきます。そうなれば、緊張も和らいでいくことでしょう。

まず緊張したら、最初に自分の「ファン」を見つけてみるつもりでアイコンタクトを取ってみるとよいと思います。

徐々に会場全体に視線を送ってみる


しかし、いつも同じ人ばっかり見ていては、他に参加している人がないがしろにされていると感じてしまうかもしれません。少し自分の心にゆとりが出てきたら、会場全体に視線を送ることも少し意識してみてください。会場全体に視線を送れるようになると、落着いて全体に気を配れる人だという印象が強まり、多くの人が話に注目してくれるようになります。漠然と視線を送るのではなく、会場の特定の何人かに時々直接話しかけるようなイメージを持つとよいでしょう。

先日明治大学の斎藤孝教授が「世界一受けたい授業」で上手なスピーチのお話をしていました。斎藤教授は『恥をかかないスピーチ力』という書籍を出版しています。書籍の中で、会場を6か所に区切り、6か所それぞれにいる好意的な人に視線を送るやり方を独自のメソッドとして紹介しています。とてもわかりやすく誰でも再現できる方法としてまとまっていますので、ぜひご参照ください。

※参考文献
斎藤孝(2016)『恥をかかないスピーチ力』筑摩書房 ※ちくま新書です。

聞き上手のススメ


さて、このコラムをご覧の方のなかには、自分がプレゼンをするだけでなく、後輩や新人がプレゼンをする場に立ち会うことが多い方もいると思います。これまでのお話を踏まえて、後輩や新人がプレゼンをする際に、先輩としてできることを私からぜひ提案したいと思っています。それは、

・怖い顔をしてチェックするのではなく、聞き上手になってあげましょう

ということです。大事なプレゼンで緊張する大きな原因は、ちょっと不手際が合った時に厳しい批判を受けることを恐れるのが大きな原因です。目上の人が怖い顔をしていると、そちらばっかり気になってしまうのが人情というものです。もちろん第三者の視点で改善点をフィードバックすることは大事ですが、本来一番の味方であるはずの先輩が後輩の緊張を大きくすることがないように、穏やかに見守ってあげてほしいというのが私の提案です。

私自身、大道芸をやり始めたころは、有名な大道芸人が見ていたりするとそちらが気になって、そっちばっかり見てしまったりしたものです。大道芸には路上でのパフォーマンスの許可権をかけたオーディションやコンテストがあります。特に平日開催だと、暇な先輩風を吹かせた大道芸人も審査を見に来ます。普段通りにやれば合格する力がある若手やこれから専業として一本立ちを目指す人でも、同業者の視線が気になって実力が出せないで不合格になる人も残念ながら結構出てしまいます。(ただ、そういう人は、往々にして同業者の視線を気にするあまり、普段やらないことを無理にやろうとして仕込んだ風船が割れるなどのハプニングが起きたりします。「ええかっこしぃ」は時に悪い結果をもたらすことは第38回でも取り上げました)。

私が若い人のパフォーマンスを見ている時はどうしてるかって?そう言えばほとんどの場合クスリとも笑ってなかった気がしますね。。聞き上手になるのが実は一番難しいのかもしれません。まず私自身が改善します!

※イラストは、こちらの著作権フリーサイトのものを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?page=1&word=%E6%80%96%E3%81%84%E9%A1%94&mode=&cid=&word_id=&order=1&format=all&qt=&creator=&ngcreator=&nq=&qid=&creator_id=&orientation=all&crtsec=&pp=70

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田久朋寛
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田久朋寛(セミナー講師)

大道芸人たっきゅうさん

大道芸人として13年のキャリアを持つ。老人介護施設や高齢者大学等で、大道芸とレクチャーとヨガをミックスした健康講演会「ユーモアセラピー」を開講。笑いの効果を生かし高齢者の心身の健康をサポートしている。

田久朋寛プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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