会話のキャッチボールを意識する【プレゼンに笑いをプラスするコツ25】

田久朋寛

田久朋寛

テーマ:ちょっとしたヒント(笑いあるプレゼン)


しばらく更新の期間が空いてしまいました。一昨日は和歌山県古座川町、昨日は兵庫県丹波市で講演会がありました。関西の南端から北端まで一気に大移動となりました。同じ関西の中なので大したことないだろうと完全に油断しておりましたが、ここまで距離があるとは思っていませんでした。しかし普段乗らない特急の景色も堪能し、非常によい時間になりました。

今回は「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第25回です。お話が一方通行にならないようにできる工夫について紹介します。

会話のキャッチボールを意識する


 学生の頃を思い出してみてください。先生が一方的に単調に話し続ける授業はつまらなくて眠くなった記憶を誰もがお持ちだと思います。逆に楽しい授業は先生が生徒の様子をよく見ていて、理解度を確認したり、適切なタイミングで問いかけがあったり、たまには脱線して笑いがあったりで、決して一方通行ではなく、先生と生徒で双方向のコミュニケーションが存在していたのではないでしょうか?この双方向のコミュニケーションが、お話に興味を持ってもらう上では非常に大切です。

「会話のキャッチボール」と言う表現もありますが、実に絶妙な表現です。キャッチボールは、自分の好きなタイミングで好きなようにボールを投げては成立しません。相手の届きやすい場所に、相手がこちらを見ている時にボールを投げることが大事です。お話をする際には、一方通行ではなく、キャッチボールをすることをぜひ意識してみてください。

時々視線を送るだけで変わります


キャッチボールが大事なのは何度も聞いているが、では具体的にはどうすれば…と思った方もいるかもしれません。ぜひ意識していただきたいのは

・参加者の表情や様子をしっかり確認する

ことです。特に多くの人の前で話すことに慣れていない場合、ちゃんと話すことだけに意識が向きがちで、参加者がどのように感じているか確認することを忘れがちです。明らかに上の空の表情の方がいたり、眠そうにしている人が増えてきた場合、相手にとって取りやすいボールを投げることができていない可能性があります。内容をよりわかりやすく言い換えたり、少し話のペースを落としてみると言ったことができないか考えてみてください。一見すると高等テクニックで簡単に実践できそうにないと思うかもしれません。ある程度経験を積まないと瞬時の判断は難しいという面もありますが、すぐに実践できることもあります。それは、

・参加者の皆さんに時々視線を送ることを意識する

ことです。これを意識するだけで、参加者の皆さんの様子を確認できます。そして、時々視線を送っていれば、参加者の皆さんも自分のことをちゃんと考えてくれているんだと思ってくれますので、話に対する関心度も上がる効果があります。アイコンタクトが重要だとよく言われます。なかなか慣れないうちはアイコンタクトをしっかりしようとしてもちょっと恥ずかしいと思うかもしれません。まずは時々でいいので視線を送って、様子を確認するクセをつける、それだけ意識すればよいと思います。そして、A-PIEプロセスに基づいた振り返りの中で、次の回にどうすればもっとキャッチボールが上手くなるか考えていけば、回数を重ねるたびに必ず上達します。

(振り返りのメソッドであるA-PIEプロセスについては、第14回から数回に分けて詳しく解説していますので、そちらをご参照ください)

また、話の中に以下のような要素を少し入れるだけで、キャッチボールが可能になります。

・大事なお話をする前にちょっとしたクイズを出す
・お話のテーマに関するミニブレーンストーミングをしてみる

一方的にお話しするのではなく、参加者も自分の意見を表明できる場を少し作るだけで、キャッチボールが可能になります。また、このような内容を入れることによって話にメリハリができ、飽きにくくなる効果も期待できます。クイズやブレーンストーミングには、アナログツールであるホワイトボードを活用するのも効果的です。ホワイトボードの活用法については、後日改めて投稿しようと思います。

遠くの席の人に関心を持ってもらうコツ


特に健康講座や特定保健指導などで教室を開くときに、近くの席の人はともかくとして、遠くの席の人が一向に関心を持ってくれなくてがっかりしたという経験がある方も多いかもしれません。遠くの席の人にも自分に関心を持ってもらうためにできることがあります。それは、

・自分から遠くの席の人に話しかける

ことです。

一般的に遠くの方の席を取る人は、話の内容に強い関心がない場合が多く、また、遠くの方にいておけば眠そうにしてても大丈夫だろうと内心思っている傾向があります。そういった方に自分に関心を持ってもらうためには、自分からその方に話しかけてしまうという裏技があります。例えば、先ほど取り上げたクイズやブレーンストーミングをする時に、講師である自分が会場を歩いて回り、遠くの席の方まで出向いて、「お客さまはどう思いますか?」と話しかけてみる、と言ったことをしてみると効果があります。話し手が後ろの方の席にいる参加者にも話しかける場面があると、一人一人に関心があるのだと感じられるようになり、近くの席の人にもよい影響が生まれます。

プレゼンではなく大道芸の話になりますが、私は大道芸の中で拍手の練習をする際に、遠くの方にいる人でカメラを持っている人を見つけたら、その人に

「カメラはばっちり撮ってください。後でフェイスブックにあげておいてください」

と直接話しかけることがあります。遠くの人の様子に応じたセリフで直接話しかけることで、見てくださるお客さんの一人一人のことを私も気にかけていますよ、ということを知ってもらうことができ、会場に一体感が生まれる効果があります。遠くの人に直接話しかける、意外な方法ですが効果がありますので、ぜひ一度試してみてください。

次回は、参加者の眠気対策について考えてみたいと思います。

※キャッチボールのイラストは、こちらの著作権フリーサイトのものを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=87582&word=%E8%A6%AA%E5%AD%90%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB

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https://www.humor-therapy.com

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田久朋寛
専門家

田久朋寛(セミナー講師)

大道芸人たっきゅうさん

大道芸人として13年のキャリアを持つ。老人介護施設や高齢者大学等で、大道芸とレクチャーとヨガをミックスした健康講演会「ユーモアセラピー」を開講。笑いの効果を生かし高齢者の心身の健康をサポートしている。

田久朋寛プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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