プレゼンの振り返りには、PDCAよりA-PIEがオススメ【プレゼンに笑いをプラスするコツ14】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの18回目です。A-PIEプロセスに基づいて準備し、本番を終えた後の評価(Evaluation)について取り上げます。
(A-PIEプロセスについては、第14回~第17回もご覧ください)
振り返りでまず確認したいこと
本番を終えた感想はいかがでしたでしょうか?上手く行った場合は、大きな自信を得ることができたと思います。しかし、残念ながら失敗した、あまり手ごたえがなかったという場合もあるかもしれません。しかし、そこで「やっぱり自分には向いていない」とあきらめず、ぜひ本番の評価を自己検証で構わないので行ってほしいと思います。評価というと手厳しく聞こえるかもしれません。「振り返り」と言いかえてもかまいません。
振り返りを行う際に、確認してほしいことがあります。
・少しの注意で防げるミスはなかったか
・明らかに反応が悪かったり、理解を促せていないと感じる場面はなかったか
・一番大事なことをしっかり伝えれられたか
本番は緊張のあまり、思わぬ失敗もあるものです。自分が事前に意識することさえできていれば防げる失敗であった場合は、失敗の対策を記録しておき、次回本番を迎える前に確認しておけば、次はうまく行くでしょう。
また、大事なところを伝えられなかった場合は、ペース配分の見立てが十分でなかった可能性があります。次回はあまり内容を詰め込み過ぎないようにすると言った対策を立てることができます。
反応が悪かったり、理解を促せていない場所については、もう少し検証が必要です。
事前評価、計画に不十分なところがなかったか検証する
参加者の反応がなんか悪いなあと思った時に、まず検証してほしいことがあります。
・事前評価、もしくは計画のどちらかに不十分なところはなかったか
についてです。
例えば、介護予防の啓発のプレゼンテーションをして、思ったより参加者が興味を持ってくれなかったな、と感じたとします。その場合、事前評価、もしくは計画のどちらかが正しくなかった可能性をまず検証します。参加者が熱心に聞いてくれる方ばかりだと事前評価で想定していたが、いざ会場に行ってみたら妻に連れられて仕方なくやってきて全然興味がない人が半分くらいいたと言う場合、参加者の興味関心に対する見立て(事前評価)が誤っていた、ということになります。
客層に対する見立て(事前評価)は予想通りだったにもかかわらず、お話に惹きつけられていなかった場合は、計画の段階でどの程度詳しく専門的な話を入れるかについて正しく計画できていなかったのかもしれません。普段業務をしている中で当たり前だと思っていたことが、参加者にとっては初めて知る概念でよくわからず、途中から興味を失ってしまったのかもしれません。
今書いてきたことは、あくまで一例に過ぎませんが、事前評価、計画のどちらかが正しくないケースが多いです。どちらも正しいのになんか手ごたえないなあと感じたときは、自分の話術が不足していたと考えてもよさそうです。わかりやすく、共感してもらいやすい話し方を少しずつ磨いていけばよいと思います。
上手くいかなかったからと言って、才能がないとは限りません
振り返りの手順を紹介しましたが、ぜひ皆さんに強調したいことがあります。特に人前で話すことに対する苦手意識が強い人は、一度うまく行かない経験があると、「やっぱり自分には人前で話す才能がないから向いていない」と思ってしまうのではないでしょうか?でも、そうではないかもしれません。
自分の話術がないのではなく、参加者の興味関心、前提知識に関する見立て(事前評価と計画)が不十分だっただけの可能性も実はかなり高いのです。プロの芸人のような卓越した話術はなくても、参加者が知りたいと思うことなら熱心に聞いてくれます。参加者の思いを事前に正しく見立てる確率を上げていけば、プレゼンの成功確率も上がります。ですから、事前評価、計画をしっかり行うことが大事です。その事前評価、計画が簡単にできれば苦労はないだろ、というツッコミもあるかもしれませんが、最初は間違っていてもいいのです。毎回A-PIEプロセスにしたがって振り返りをしていくうちに、それらの精度も上がっていきます。私もA-PIEプロセスにしたがって講演、大道芸のすべての回をノートに記録しています。ノートは10年前からつけていて、すでに40冊を超えています。
最初は苦手でも全く問題ありません。A-PIEプロセスを繰り返して毎回少しずつ上達していけばよいのです。体系的な方法論に従えば、いずれは才能を凌駕する、このことをぜひ皆さんにお伝えしたいと思います。
さて、仕事が立て込んできましたので、コラムの更新はしばらくお休みします。再開した時には、プレゼンの「ツカミ」について書いていこうと思います。
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