参加者の眠気を飛ばすためにできること【プレゼンに笑いをプラスすること26】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第17回です。A-PIEプロセスに従って、プレゼンや講座の講師の事前評価(Assessment)と計画(Plan)を行い、一通り本番に向けた練習ができたら、いよいよ本番を迎えます。しっかり準備ができていれば、後は本番を練習のときのように行います。慣れないうちは緊張もあると思いますが、本番でぜひチェックしてほしいことがあります。それは、
・参加者の様子(反応がよいか、理解している様子かなど)
・うまく行かなかった個所はないか(逆に、予想外にうまく行ったことも)
・事前の想定と異なることはないか
最初はお話しするだけでいっぱいいっぱいで、周りを見渡す余裕がなくても仕方ないと思います。しかし、慣れてきたら上に書いたこともチェックできるようになると、本番を経験するごとに上達が見込めます。
お客さんをかぼちゃだと思ってはいけない
今日のコラムのタイトルや、この小見出しを見て、いったい何を言い出すのやら、と思った方も多いかもしれません。実は演劇などの公演の分野で、緊張を防ぐために
「お客さんのことをかぼちゃだと思え」
と言われることがたまにあります。人に色々チェックされていると思うから緊張してしまうので、物だと思えばよい、という発想です。どうしても緊張して仕方がないというのなら、おまじないとしては良いかもしれませんが、私はこの格言には反対の立場です。プレゼンを通じて、目の前にいる参加者に大事なことを伝え、共感してもらうことが最終目的ですから、本当に大事なことが伝わっているかは、参加者の様子を確認しないことには判断できません。ですから、最初はゆとりがなくても、徐々に参加者の様子に気を払うことを意識できるようになってもらえればと思います。周囲を見渡す余裕が出てくれば、次に改善するべき個所を見つけるのに大いに役立ちます。ですので、私からお送りしたい言葉は
「お客さんのことをかぼちゃだと思ってはいけない」
です。
想定外のことは成功も失敗も次に活かせる
練習までと違い、本番では思い描いたようにいかないこともあるかもしれません。そのような場面は、ぜひ記録しておいてください。次回の対策に活かすことができます。逆に、思わぬところで笑いが起きたりすることもあるかもしれません。自分では想定外でも、理由を突き止めることができれば、また同じような場面で笑いに変えられるかもしれません。想定外の成功は、将来のテッパンになるかもしれません。(テッパンについては、第10回をご参照ください)。失敗しても成功しても次に活かせるならラッキーくらいの気楽な気持ちでいた方が、仮に人前で話すことに苦手意識があっても、心が折れずに済みます。テレビ番組の「あらびき団」などに出演して大人気の大道芸人の大先輩がまだテレビに出る前に、「毎回自分のショーのビデオをチェックして、アドリブが出てちょっとおもしろかったらメモしておいて、次にはちゃんとセリフとして用意しておく」とおっしゃっていました。
プレゼンで大事な「間」の取り方も、参加者の反応を見ることから
話術においては、「間」の取り方が大事だ、と言われます。間の取り方の奥深さは、一生追求しても決して正解にはたどりつけないだろうなあとは思いますが、間の取り方は、参加者のことをよく見ることなくして上達しません。
お笑いの世界には「笑い待ち」という用語があります。ボケやツッコミで笑いが起きてから次の展開に行く前に、客席の笑いが少し落ち着くのを待つための「間」のことを、笑い待ちと言います。お笑いはにフリがあってオチがあります。フリの部分をお客さんがちゃんと理解できていなかったり、オチが笑い声に消されてよく聞こえなかったりすると、せっかくの面白いネタも、大きな笑いにならなくなってしまいます。お客さんがよりたくさん笑えるように、笑いが落ち着くのを待つのが大事だということを、笑い待ちという言葉で表現しているわけですね。笑い待ちは、まさしく客席の様子をきちんと見ることができなければ決して身につけることのできない技術です。間の極意も、参加者の反応を見ることが最初のポイントです。
次回は、本番後の振り返りについて取り上げたいと思います。
※かぼちゃの画像については、こちらの著作権フリーサイトのものを使用しています。
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