緊張を大きくする三大要因【プレゼンに笑いをプラスするコツ6】

田久朋寛

田久朋寛

テーマ:緊張とつきあう(笑いあるプレゼン)



「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第6回です。前回のコラムでは、緊張することは必ずしも悪くないことだとお伝えしました。(前回のコラムはこちら

とは言え、どうしても緊張する時は緊張してしまいます。人の前で話すことに慣れてなかったり、人前で話すことに苦手意識のあればなおさらです。緊張するのは人としてごく普通のことですから、恥ずかしく思う必要はありませんが、度の過ぎる緊張はパフォーマンスを下げてしまいます。今回は、緊張を大きくする要因を紹介します。要因を知り事前に対処することで、ほどよい緊張感で本番を迎えていただければと思います。

緊張を大きくする三大要因


私自身決して人前でお話をする天性の才能を持ち合わせているわけではありません。子どもの頃は教室で作文を読むだけで手が震えました。大道芸を始めたばかりの頃も緊張で自滅し数多くの失敗をしました。ただ、失敗を振り返る中で、緊張を大きくする要因もわかってきました。私が考える緊張の要因は主に3つです。

・準備不足
・実力以上に見せようとする
・慣れないことへの不安

準備が十分にできていないと緊張し、本番でちょっと言葉が出なかったり段取りが悪かったりすると、とたんに頭が真っ白になってしまいがちです。読者の皆さんは普段の他の業務もありお忙しいとは思いますが、プレゼンや講座の講師をする前日にちょっとでも練習しておくと良いと思います。

普段の自分の実力以上に自分を良く見せたいと思う気持ちが緊張と焦りを大きくします。憧れの先輩や上司がチェックしていると、完璧な姿を見せたくなるかもしれませんが、プレゼンや講座の目的はあくまで参加してくださる皆さんがお話に対して納得し、共感してくれることです。仮に話し方が下手くそで、しょっちゅう言葉に詰まったとしても、自分の思いが参加者に伝わっていれば成功です。ありのままの自分を出せれば十分です。それでもふがいないと思った時は、実力を高めて次回に上達すればよいのです。ふがいない、悔しいという気持ちは向上心の現れですから、ネガティブな体験をできて自分の向上心に気がつけたことはむしろ誇っていいことです。

どんなことでも最初は不安です


緊張を大きくする三番目の原因として、慣れないことや初めてのことに対する不安があります。こればかりはどうしようもなく、慣れるしかないと思います。ただ、プレゼンに限らずどんなことでも最初はおおかれ少なかれ不安に感じるものです。このコラムをご覧いただいている方だけでなく、ほとんどすべての人に当てはまることです。人間に限らず動物の脳は未知のもの、未体験のものには恐怖感を持つようになっています。本能のようなものです。些細なことで不安に感じて緊張している自分はダメだと卑下することなく、みんな同じですので、どうか安心してください。

少しの勇気が世界を広げる


私の経験上、今の実力から少し努力すれば十分できそうなことであったら、挑戦してみた方が新しい世界が広がります。中学、高校、大学、あるいは専門学校の入学式の時を思い出してみてください。全く見ず知らずの人だらけで目の前の人に話しかける時にとても緊張した人も多いと思います。でも少しの勇気で話しかけたことをきっかけに仲良くなり、社会人になった今でも付き合いの続く一生の友達も生まれませんでしたか?

上司から急きょプレゼンやちょっとした講座の講師を任された時に、人の前で話すことに慣れていないけどどうしよう?と不安に感じたかもしれません。もちろん、忙しすぎて全く準備の時間がとれなかったり、話すテーマの知識が全くないなら断ってもかまわないと私は思います。ですが、仕事を振る上司も、全くできないことは任せようとは思わないはずです。もし初めてのことで不安だから嫌だという理由以外に断る理由がないなら、少し勇気を出して挑戦していただければと思っています。初めてで多少失敗があっても、そのことをいつまでも責める人はいません(※もし実際に何年も執拗に責め続けるような人が上司だったら、転職を考えてもいいかもしれません…)

私の経験で、なおかつプレゼンとは違う話で恐縮ですが、ビジネス書に講演会の講師をするなら商業出版した方が良いという記述を見つけました。企画書の書き方の本を一冊読み、ほんの軽い気持ちで企画書をいくつかの出版社に送ったところ、「企画書の内容をいくつか修正したら出版してもよいと考えているので、もう一度企画書を出してほしい」というご連絡をいただきました。商業出版は遠い世界のお話だと思っていたのが急に身近になったとたんに恐怖感がわきあがり、新しい企画書を送るのを1月半ほどためらってしまいました。しかし勇気をもって書き上げて改めて送り、出版が実現しました。販売される1週間くらい前から自宅で1人でドキドキしていました。

この時の不安を乗り越え、企画書を送ることへの不安が払拭されたため、新たに雑誌での連載やワークショップ、笑いのある介護予防体操の監修などのお仕事もいただけるようになりました。私のような地方在住の全く無名の大道芸人でも、このようなことを実現できます。ぜひ皆さんもプレゼンの機会があったら挑戦していただければと思います。

次回以降で、プレゼンで失敗しそうな場面とその対策について、もう少し詳しく書いてみたいと思います。

※イラストは、こちらの著作権フリーサイトのものを使用しています。
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田久朋寛
専門家

田久朋寛(セミナー講師)

大道芸人たっきゅうさん

大道芸人として13年のキャリアを持つ。老人介護施設や高齢者大学等で、大道芸とレクチャーとヨガをミックスした健康講演会「ユーモアセラピー」を開講。笑いの効果を生かし高齢者の心身の健康をサポートしている。

田久朋寛プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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