流暢に話せなくてもプレゼンはできます【プレゼンに笑いをプラスするコツ27】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズ第3回です。前回のコラムでは、楽しい雰囲気をつくるために、心理的安全性・お互いの信頼関係・共感が大切だとお伝えしました。心理的安全性という用語は、多くの方が聞き慣れない言葉だと思いますので、もうすこし詳しく解説したいと思います。
もともとはgoogleでの生産性に関する研究から生まれた
「心理的安全性」という用語はpsychological safetyの訳語で、比較的最近になって注目されるようになった言葉です。チームにいるメンバーひとりひとりが、自分が所属するチームに対して
・意見を言っても馬鹿にされたり理不尽な批判を受けることがない
・安心して自分をさらけ出せる
と感じている状態のことを、心理的安全性と言います。
心理的安全性と言う用語は、googleの生産性に関する研究の中で生まれました。チームの生産性を高める要因の研究を行っていましたが、意外なことにチームメンバーの知能や構成、働き方と生産性の間に強い関連が見られないことが判明しました。チームの雰囲気が良く、みながフランクに意見を出し合える環境が重要であることも判明し、そのような環境、空気感を「心理的安全性」と名付けたことから、近年注目されるようになりました。
プレゼンの空気は話し手と参加者がチームで作り上げるものです
コラムをここまで読んで、生産性に関することはプレゼンとは関係ないのでは?と思った方も多いと思います。私は、多人数を対象にプレゼン、ちょっとした講座を開催する時にこそ、心理的安全性は大切だと考えています。プレゼンや講座で壇上でお話しするのはたった1人ですが、会場の空気感はたった1人で作れるものではありません。お話を聞いている参加者の皆さんの温かい協力が必要不可欠です。プレゼンの成功は話し手1人で決まるのではなく、会場にいる全員がいわば1つのチームとして共に作り上げていくものです。だからこそ、お話を聞いてくれる参加者の皆さんに、居心地がよく楽しい空間だと感じてもらうことが、プレゼンや講座を楽しいものとするのに非常に大切です。
プレゼンとはちょっと違いますが、大道芸を思い浮かべてみるとわかりやすいと思います。大道芸人が高度な技を完璧に決めても、お客さんの反応がまばらだったら、いいショーとは言い難いです。逆に、技はそれほどでも、大道芸人もお客さんも一体になって盛り上がっていたらショーとしては大成功です。プレゼンや講座ではまじめなお話をするので、大道芸のようなリアクションは必要ありませんが、楽しいものにしようと思ったら、参加者が居心地の良さを感じることは大切です。
カーリング女子日本代表を思い出してみてください
心理的安全性の高いチームとして、私が始めに思い浮かんだのが、平昌オリンピックで銅メダルを獲得したカーリング女子日本代表「LS北見」です。「そだねー」は流行語大賞になりました。LS北見の雰囲気の良さこそが「心理的安全性」です。あの明るい雰囲気に多くの人が共感しました。容姿のよさや方言の素朴さが話題になりましたが、それだけでは国民的フィーバーにはならなかったはずです。
試合をテレビで見ていた方は記憶にあると思いますが、ストーンを思い通りの場所に止めることができなくても、決して批判的な言動をせず、次にどうするか、全員が率直に意見を言いつつ、お互いの意見を尊重していました。チームワークの良さが銅メダル獲得という素晴らしい結果を生み出しました。
プレゼンや講座を開催する際に、ぜひあのような温かく居心地の良い空気感を作っていただければと思っています。私自身も、そのために何ができるか、もっともっと勉強していきたいと思います。
次回のこのシリーズでは、話し手と聞き手のお互いの信頼関係を築く方法について取り上げます。
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