【宗教法人の管理・運営(21)】 -事業-
(墓地の使用)
第3条 墓地の使用者は、○○寺の檀信徒名簿に登録された者に限る。
2 使用者は、墓地使用契約の成立後、管理者から指定された墓地の区画(以下「墓所」という。)を、第9条又は第10条の規定により墓地使用契約が解除されない限り、継続して使用することができる。
3 使用者は、管理者に届け出て、墓所内に使用者の親族(檀信徒に限る。)及び縁故者の焼骨を埋蔵することができる。ただし、縁故者の焼骨を埋蔵するにあたっては、事前に管理者の承諾を得なければならない。
4 使用者は、墳墓の設置、焼骨の埋蔵その他墓地本来の使用目的以外の目的のために墓所を使用してはならない。
5 使用者は、管理者の承諾を得ずに、墓所を使用する権利を他人に譲渡し、又は他人に当該墓所を使用させてはならない。
墓地の使用方法
第3条は、墓地をどのように使ってもらうかについて規定しています。
寺院の宗教施設だということが前提になっています。
ですから墓地の使用者を寺院の檀信徒に限っています。
そして檀信徒の範囲を明確にする必要から、「檀信徒名簿に登録された者」としています。
この墓地使用者が、墓地使用契約の当事者になります。
そして墓地使用者が、その親族と縁故者を墓地に納骨することができる契約になっています。
「親族」の範囲ってどうやって決めるのでしょうか。
民法725条に、親族の範囲が規定されています。
これによると、①六親等内の血族、②配偶者、③三親等内の姻族、ということになります。
ここでの「血族」には、血のつながった血縁関係のほか、養子縁組でつながった親子関係も含まれます。
曾祖父(三親等)の兄弟(五親等)の子(六親等)や、祖父(二親等)の兄弟(四親等)の孫(六親等)は、ここに含まれます。
「姻族」とは、配偶者の血族と、血族の配偶者をいいます。
伯父(三親等血族)の配偶者(三親等姻族)や、配偶者の甥(三親等姻族)がここに含まれます。
けっこう広いですが、これはあくまで民法上の親族の範囲です。
墓地使用約款上の親族の範囲が、必ずしもこれと一致しなければならないわけではないでしょう。
宗教施設としての墓地なのですから、民法上の範囲よりも狭く限定するのも、それなりに理由があると思います。
ただし、墓地は永続的に使用することが前提となっていますので、あまりにも限定しすぎるのは無効とされる危険があります。
もっとも、墓地使用者から遠い親族は、通常、もっと親族関係の近い人の墓に納骨されると考えられます。
あえてここに納骨したいというのには、それなりの事情がある場合に限られるでしょう。