雑誌「プレジデント」に掲載して頂きました!
弁護士の田沢です。
まさか,お酒に関するネタ解説を頼まれるとは思いませんでした。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/03/15/articles8227.html
平成25年12月7日に「アルコール健康障害対策基本法」が成立しました。この法律が制定された理由は、まさに第1条に規定されている通りです。
「この法律は、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことに鑑み、アルコール健康障害対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、アルコール健康障害対策の基本となる事項を定めること等により、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進して、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止を図り、あわせてアルコール健康障害を有する者等に対する支援の充実を図り、もって国民の健康を保護するとともに、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする」
法律の目的を定めた第1条が、これほど長い文章になっている法令には滅多にお目にかかれませんが、アルコール健康障害が社会に与える影響や損失がいかに大きいものであるのかを訴え続けてきた人々の、切実な思いが込められているように思われます。
実際、我が国では、「①飲酒運転で検挙された男性の5割、女性の4割に依存症の疑いがある」「②深刻なDVの3割、刑事処分を受けたDVの7割が飲酒の上での犯行である」「③自殺者の2割以上がアルコールの問題を抱えている」「④アルコールに関連する疾病等による年間死亡者数は3万5000人に達する」などといわれています。
厚生労働省の研究班も、アルコールの飲み過ぎによる社会的損失(治療、労働生産性の低下、犯罪等)が、年間4兆1483億円(酒税の3倍)に達するものと推計しております。
しかしながら、このような基本法を成立させることによって、アルコールに対するイメージダウンに繋がり、アルコールの消費量が減ってしまうといった懸念もありますから、利害関係を有する酒類製造・販売業者がすんなり賛成したわけではありません。「酒は百薬の長」と言われる面もありますので、利害関係を有する事業者の利益を不当に害する結果とならないような配慮も必要となります。そこで、飲酒そのものを否定しないように「酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透していること」を冒頭に掲げ、「酒類の表示、広告その他販売の方法について、酒類の製造又は販売を行う事業者の自主的な取組を尊重」することが盛り込まれています。
アルコール健康障害対策基本法の成立によって、消費への影響が全くないとは言えませんが、世界保健機関(WHO)が平成22年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を決議するなど、アルコール健康障害対策は、世界的な潮流になっているといえるでしょう。
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