過払金密約

弁護士の田沢です。

大手の法律事務所や司法書士事務所が，過払金の返還割合について，密約を締結していることが暴露されました。
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303230436.html
要するに，債務の残る依頼者Aについて，分割払い等を認めてやるから，過払金の返還を求めている依頼者Bについて，過払金の返還割合を10％～50％に抑えるという内容です。実際には，依頼者はたくさんいるわけですから，これらの密約を事前に包括的に取り交わしておくと，大量処理が可能となります。この問題は，依頼者Aのために，依頼者Bの利益を犠牲にすることになり，とうぜんにやってはいけないことになります。私の事務所には，このような包括密約の打診はありませんが，個別の案件で，依頼者Bの件について「ほぼ100％の過払金の返還を受けられないのであれば，訴訟提起するしかありません。」と伝えると，「もしも，過払金の返還額をある程度カットして頂けないのであれば，依頼者Aの件について，分割払いの和解をすることはできなくなります。」などと言われたことがりますが，依頼者Aの件と依頼者Bの件は，何らの関連性もありませんから，当然にお断りするのが筋です。
弁護士人口を徒に増員し，司法書士に法律業務の門戸を拡げ，広告規制を解禁してしまった弊害の顕れだと思っております。

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