裁判所における無駄な手続

田沢剛

田沢剛

弁護士の田沢です。

民事訴訟や行政訴訟を起こした場合,第1回口頭弁論期日は,原告の請求内容を口頭で主張し(いわゆる「訴状陳述」),被告がこれに対する答弁(請求内容を認めるのか認めないのか,請求の原因を認めるのか認めないのかなど)を口頭で行います(いわゆる「答弁書陳述」)。
ところで,第1回口頭弁論期日は,被告の都合を聞かないで決めてしまうので,被告は都合を付けられず,出頭できないことがあります。このような場合は,予め答弁書を提出しておくことで,「答弁書擬制陳述」といって,第1回口頭弁論期日において,答弁書を陳述した扱いにしてもらえます。答弁書も提出せずに,出頭もしないと,原告の請求の原因となった事実をすべて認めたものとみなされ,原告の請求どおりの判決が下されます(いわゆる「欠席判決」)。
予め答弁書が提出されていて,擬制陳述となる場合でも,答弁書に「請求は認めないが,請求原因については追って認否する。」と書かれていることがあります。このような場合,どこに争いがあるのか分からないため,原告としては,第1回口頭弁論期日にわざわざ出頭しても,「訴状陳述」と述べて,第2回口頭弁論期日を決めるだけで終わってしまい,時間も交通費も無駄になります。
このような場合,裁判所が遠い場所にあるときは,私は「被告から実質的な答弁がなされない見込みであるため,第1回口頭弁論期日を変更して下さい。」といった上申書を提出して,期日変更をお願いします。裁判官によっては,理解してくれて期日変更を認めてくれる方もいるのですが,頭の固い裁判官の場合は,最初の期日だから変更は認めないなどといって,原告に時間と費用の無駄を強います。
「お上意識」が高い裁判官ほど,原告に時間と費用の無駄を強いるんですよね。裁判官も国民のためにサービスを提供しているという意識が必要です。


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田沢剛
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田沢剛(弁護士)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

裁判官時代に民事,刑事を含めて様々な事件を担当しました。紛争処理にあたり,裁判所がどのような点を問題にしているのか,どの部分の証拠が足りないのかなど,事件の見通しを踏まえたアドバイスを心掛けています。

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