NHK受信契約に関する東京高裁判決
弁護士の田沢です。
昨日,ゴビンダ被告の再審無罪が確定しました。ゴビンダ被告は,祖国ネパールで会見し,「謝って欲しい。」と訴えました。当然の訴えです。警察,検察だけでなく,刑事訴訟の基本原則すら忘れた判断を繰り返した裁判所に対する叫びでもあろうかと思います。最初の一審判決だけが,刑事訴訟の基本に忠実に判断を下していたのです。それを,刑事裁判の基本原則を無視した高裁が覆し,取り返しのつかないことになってしまったのです。
事実関係が争われているときの事実認定のあり方については,裁判官の研修所である司法研修所においても,まともに訓練されることはありません。要は,裁判実務を通じて身に付けていくしかないのです。それでも,身に付けるためのノウハウが確立しているわけではありません。裁判実務を10年経験した裁判官の研修でさえ,事実認定の問題に対し,研修を受けている裁判官の意見が5対5に分かれるという話を聞いたことがあります。これでは,どちらが正しいのかも分かりませんし,司法研修所が用意していた回答そのものも正しいのかどうか分からないということになります。
結局のところ,職業裁判官といえども「事実認定のプロ」になど到底なり得ないのです。真実は,「神のみぞ知る」なのです。