NHK受信契約に関する東京高裁判決
弁護士の田沢です。
このコラムで一番最初に書いた敷金問題です。敷金は,借主の未払賃料,原状回復義務などの一切の債務を担保するために貸主に差し入れられるもので,明渡完了後にその債務を差し引かれて返還されるものと定義されています。経年劣化や通常損耗は,明渡しの際の原状回復義務には含まれず,他に負担すべき債務がない場合には,全額返してもらうのが原則ですが,貸主側(特に賃貸管理をしている不動産業者)は色々と難癖をつけて原状回復費用を計上し,敷金から差し引いてきます。
これを避ける裏技として,賃貸借期間満了前の敷金相当額に見合う賃料を滞納してしまうという方法が考えられます。例えば,敷金2か月分を差し入れているのであれば,最後の2か月分の賃料をわざと滞納するのです。そうすれば,賃料2か月分の支払をしなくても,敷金から全額賄われることになり,賃料2か月分の支払をして敷金全額を返してもらったのと同じ結果となります。
部屋の状態が経年劣化や通常損耗の程度しか存在しないのであれば,明渡後に貸主がわざわざ原状回復費を請求してくるなどということはちょっと考えられませんので,賃料を滞納する勇気のある人はやってみる価値があります。但し,実際にこれを試した結果,不利益を負うことになったたとしても,当方は責任は負いかねますので,呉々も慎重に。