NHK受信契約に関する東京高裁判決
先日,ある裁判所で和解の手続がありました。担当裁判官は,小職が以前勤務していた裁判所の所在地で弁護士をされていた方です。弁護士から裁判官に任官されたのです。そのときとは,逆の立場になったことになります。裁判所が弁護士経験者を裁判官として積極的に登用するようになったのは,ここ10年くらいのことではないでしょうか。弁護士として当事者の立場(目線)を経験した感覚を,裁判所の業務に活かそうということでしょう。これって,裁判官としての仕事だけしか経験していない裁判官は,世間の常識的な感覚から逸脱していることを裁判所自体が認めていることにほかないような気がします。検察官だって然りです。厚生労働省のMさんの刑事事件で証拠のFDを改ざんしたことに関与したとされる検察幹部の被告人は,拘置所に身柄を拘束されて初めてその苦痛を味わったなどとする手記を発表したそうですが,同じことを無罪推定の原則が働く刑事被疑者にいとも簡単に強いてきた現実を忘れないでもらいたいものです。