NHK受信契約に関する東京高裁判決
破産手続は,破産管財人を選任して財産を換価し,債権者に対し配当することを予定した手続です。しかしながら,破産管財人に無報酬で働いてもらうことはできませんので,その報酬分を予め確保しておくため,破産手続を申し立てるにあたり,裁判所にある程度のお金を納めることを求められます。これが予納金です。予納金を確保して破産管財人に対する報酬を賄うことが出来たとしても,他に破産財団となるべき財産がなく,債権者に対する配当原資がない場合には,破産手続は廃止されます。さらに,破産管財人報酬を賄うための予納金も捻出できない場合には,破産手続が開始されると同時に,破産管財人を選任することなく破産手続が廃止となることもあります。前者を異時廃止,後者を同時廃止といいます。自然人の破産手続の大多数においては,破産管財人の報酬を賄うための財産もないことから同時廃止ということになりますが,法人の場合は,一般的に同時廃止を認めてくれません。破産管財人を選任するために,何らかの方法で予納金を掻き集めることを強いられます。従って,全く財産のない法人について破産手続の申立てをしても,裁判所は,予納金を掻き集めるまでは,破産手続そのものの開始決定を出してくれず,事件を寝かせておくという運用をしております。