相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が朝日新聞に掲載されました
夏休みを目前に控え梅雨明けが待ち遠しい午後でした
七夕も終わり7月も半ばを過ぎました。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚も、夏休みを目前に控えて、今年は例年にない長い梅雨が明けるのを今か今かと待ちわびています。そんな、7月18日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 改正相続法 ~ 相続人以外の貢献に配慮する方策 ~
2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で97回目の出演となりました。昨年、およそ40年ぶりに相続に関する分野の法改正が行われましたが、この7月から施行される分野があることから、この時期に改正相続法について今一度検討しておきたいと思います。
まずは、今月もテーマに関わる出題をしますので皆さんも一緒に考えていきましょう。
次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。
【設問】
私は、亡夫に変わり長男の妻として長年に渡り、義父の介護を一手に引き受けてきました。先月、義父が亡くなり亡夫の兄弟が遺産分割協議をしていると聞きました。昨年、相続分野に関する法改正があったので、私も、亡夫に代わり法定相続人の立場で遺産分割協議に参加することができる。
さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?
まず、人が亡くなると、その瞬間に相続が開始し、遺言があればその通りに、なければ相続人は誰かを確定し、その相続人同士で誰がどの財産を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議を行う必要があります。そして、従来は遺産を相続することが出来るのは法定相続人に限られ、相続人以外の者が介護や生前の被相続人の財産の維持・増加に貢献があったとしても、寄与分を認められることはありませんでした。しかし、高齢社会や介護が一般化してきたことから、不公平や不都合が多数生じるようになってきた現状に鑑み、昨年7月の相続分野に関する法改正で相続人以外の者であっても、被相続人の生前の介護や財産の維持・増加に一定の貢献があった場合には、「寄与分」を認めることにしました。
もっとも、相続人以外の者に寄与分を認められるためには、(1)被相続人の「親族」であることが必要であり、法律婚でない内縁の妻や友人・知人などには認められないこと、(2)あくまでも、自己の貢献に対する金銭請求権が認められただけであり、法定相続人の地位を有するわけではありませんので、遺産分割協議には参加できないことに注意が必要です。
これを前提に検討してみると、本問では長男の妻が長年に渡って被相続人の介護を一手に引き受けてきた事情があり、長男の妻は被相続人の親族にあたることから寄与分が認められる余地があります。しかし、あくまでも他の相続人に対して金銭請求権が認められるだけであり、法定相続人の立場で亡き夫に代わり遺産分割協議に参加することまでは認められていません。
以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。
【改正相続法 ~ 相続人以外の貢献に配慮する方策 ~】
昨年、およそ40年ぶりに相続分野に関する法改正が行われました。特に、相続人以外の者(実務上、多かったのは夫である長男に先立たれた嫁が、義親の介護を一手に引き受けてきた事例)が被相続人の介護や財産の維持・増加に貢献をしたとしても、いざ相続が開始すると完全に蚊帳の外として無視されてしまう不公平な現実がありました。今回の法改正で、金銭請求権が認められたのは一歩前進ですが、貢献の度合いや範囲を巡って相続人と対立してしまい、新たな相続トラブルにならないか、私は懸念しています。
不毛で醜いトラブルを未然に防ぐためには、今回の法改正で安心することなく、さらにそれぞれのご家庭の事情に配慮したきめ細かい生前の準備が必要でしょう。
長男の嫁として長年にわたり義親の介護に携わってきた。いますぐまちなかステーションに相談する
番組出演の感想
今回のテーマは『改正相続法 ~ 相続人以外の貢献に配慮する方策 ~』でしたが、私が開業した8年前と比べて一般の市民の皆さんの間で起こる相続トラブルは年々複雑化・難化してきていると感じています。ひとりでも多くの方が他人ごとと思わずに自分にも起こりうることであるという認識を持っていただくとともに、万一相続トラブルになってしまった場合には是非とも早めに私たち法律専門職に相談していただけることを願っております。
これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聴きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。