相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が朝日新聞に掲載されました
梅雨入りしたと思われる夏至が近い午後でした
6月も半ばを過ぎ、梅雨入りしたおかげで毎日すっきりしない空模様が続いています。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚の駅前でも色とりどりのアジサイが梅雨のうっとおしい季節を癒してくれるかのように見ごろを迎えています。そんな、6月20日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 相続の基礎知識Ⅲ ~ 遺留分について ~
2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で96回目の出演となりました。2019年度もスタートしましたので、今月も先月に引き続き「相続の基本のキ」を見ていきたいと思います。
まずは、今月もテーマに関わる出題をしますので皆さんも一緒に考えていきましょう。
次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。
【設問】
5年ほど前に父が亡くなり、昨年母も亡くなりました。相続人は兄と私の二人だけです。ところが、兄は母が亡くなって一年近くが経過しても一向に相続手続をしようとせず母名義の土地建物に住み続けています。このような場合、兄は私の遺留分を侵害しているのであるから私は遺留分に相当する金額を支払うように兄に請求することができる。
さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?
まず、(1)遺留分は、遺言によっても侵すことのできない法定相続人に認められた権利であり、(2)その割合は、原則として法定相続分の半分であって、(3)遺留分の侵害があったことを知ったときから1年以内に行使すべきとされています。なお、これまでは遺留分減殺請求権が行使されると物権的効果が生じていましたが、今回の法改正によって遺留分侵害に相当する金銭の支払いを求めるのを原則とすることなった点に注意が必要です。これを前提に本問を検討してみますが、(1)兄も私も母の相続人であるため、遺留分権利者であることはその通りなのですが、(2)本問では、母が遺言を作成していたなどの事情もないことから、相談者の遺留分を侵害していることにはならないと言えます。(3)この事例は、誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議ができない状態が続いているのであって、遺留分侵害の問題ではないと言えます。(4)相談者は、兄に対して遺産分割協議をするように申し入れをし、それでも兄が耳を傾けないようであれば家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるなどの手段を取るべきではないかと思われます。
以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。
【相続の基礎知識Ⅲ ~ 遺留分について ~】
どこかで何となく聞いた覚えのある遺留分ですが、日々市民の相続相談を受けている専門家から見ますと、相続放棄を正しく理解されている方は意外に少ないような気がしています。制度そのものを誤解されていたり、他の制度と混同されていたりするケースが特に目立ちます。また、昨年7月には、およそ40年ぶりに相続に関する法律が大改正されましたが、遺留分制度も物権的請求権から金銭請求権へと性質が変わっていることにも注意が必要でしょう。
相続手続きを進めるにあたって遺留分についての注意点を知りたい。いますぐまちなかステーションに相談する
番組出演の感想
今回のテーマは『相続の基礎知識Ⅲ ~ 遺留分について ~』でしたが、私が開業した8年前と比べて一般の市民の皆さんの間で起こる相続トラブルは年々複雑化・難化してきていると感じています。ひとりでも多くの方が他人ごとと思わずに自分にも起こりうることであるという認識を持っていただくとともに、万一相続トラブルになってしまった場合には是非とも早めに私たち法律専門職に相談していただけることを願っております。
これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聴きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。