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加藤俊光

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加藤俊光(かとうとしみつ) / 行政書士

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

コラム

平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る 相続法改正の注意点 2 ~ これで長男の嫁も相続できるか?! ~

2019年2月26日 公開 / 2020年10月6日更新

テーマ:メディア出演・掲載実績【平塚|行政書士】

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き相続対策

 

少しずつ春が近づいていることを実感させられた午後でした


2月も下旬に入り、少しずつ春の足音を感じつつもまだまだ寒い日が続いています。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚の駅前でも夕方徐々に日が長くなってきており、暖かさを感じる日も見られるようになりました。そんな、2月21日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。




相続遺言相談 平塚|相続まちなかステーション






番組の内容 相続法改正の注意点2 ~ これで長男の嫁も相続できるか?! ~


2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で92回目の出演となりました。2019年のスタートは、昨年7月に成立した民法の相続分野における改正について3回シリーズで改正のポイントやぜひとも知っておきたい注意点について取り上げていきたいと思います。

まずは、今月もテーマに関わる出題をしますので皆さんも一緒に考えていきましょう。

 次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。

【設問】
 ABCは男3人兄弟であったが、長男Aは5年前に亡くなっており、その後高齢の母の介護を一手に引き受けたのは母と同居をしていた長男の妻Dであった。先日、母も亡くなったため遺産分割協議を行わなければならないが、昨年相続分野に関する法律が改正されたことから、Dは相続人として遺産分割協議に参加して相続権を主張することが出来る。

 さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?

 まず、(1)これまで、被相続人の財産の維持・増加や療養看護等で特別の寄与があったと認められた場合、法定相続人であれば寄与分を主張することが出来ましたが、例えば「長男の嫁」のような立場の方には寄与分の主張が認められず、いざ相続が開始した場合まったく蚊帳の外に置かれることが多く見られました。しかし、昨年7月の法改正によって(2)寄与分が認められる範囲を法定相続人から「親族」にまで広げることで、特に介護等で負担を担ったものに対して労をねぎらい、もって相続関係者の公平を図ることとしました。これを前提に検討してみると、本問では長男Aの妻Dが三兄弟の母の介護を一手に引き受けた事情があり、かつDは親族であることからDには寄与分が認められることになります。しかし、ここで注意が必要となるのですが、Dには寄与分に相当する金銭請求権が認められただけであり、相続人の地位を取得するわけではありませんので、相続権を主張できるわけではなく、また遺産分割協議に参加することもできないとされています。

 以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。

【相続法改正の注意点2 ~ これで長男の嫁も相続できるか?! ~】

昨年7月には、およそ40年ぶりに相続に関する法律が大改正されました。早いものでは今年の1月13日より順次施行されていく予定で、すでにあちこちで改正相続法に関するセミナー等が行われていますが、そのほとんどが小手先の断片的な相続対策の域を出ないもので、人間関係を壊さずに速やかに円満に相続手続を終えるための準備をテーマにしたものはほとんどないように感じています。

特に、これまでいわゆる長男の嫁の立場の方はずいぶんと悔しい思いをされてきた点に鑑みれば、今回の法改正は評価に値するとも言えますが、一方でこれで安心とは言えない問題点もいくつか含んでいると考えています。例えば、介護の労力をどのように金銭的価値に換算するのか、金銭請求権が認められたとしても他の相続人が認めてくれず任意の支払いを受けられない場合に泣き寝入りしてしまうようでは法改正前とあまり変わらないことなどが挙げられます。今回の法改正をうまく活用しながら、無用なトラブルを未然に防止し迅速・円満に手続きを進めるためにはどうしたらいいのか、ひとりでも多くの方に関心を持っていただきたい、私はそう願ってやみません。

相続法改正のどこがダメなのか知りたい! 加藤俊光が相続法改正を斬るをもっと読む


   

番組出演の感想 


今回のテーマは『相続法改正の注意点2 ~ これで長男の嫁も相続できるか?! ~』でしたが、私が開業した8年前と比べて一般の市民の皆さんの間で起こる相続トラブルは年々複雑化・難化してきていると感じています。ひとりでも多くの方が他人ごとと思わずに自分にも起こりうることであるという認識を持っていただくとともに、万一相続トラブルになってしまった場合には是非とも早めに私たち法律専門職に相談していただけることを願っております。

今年も、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聴きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

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加藤俊光(相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所)

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