平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る ~ 相続の基礎知識 その2 相続放棄と限定承認 ~
すっかり秋めいてきた午後でした
11月も中旬となりました。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚でも、穏やかなお天気の日が続いていますが、日没の時刻が次第に早まってきて秋の深まりを実感しています。そんな、11月15日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 相続相談の現場から 3 ~ 遺留分にまつわるあれこれ?! ~
2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で89回目の出演となりました。今月も、相続まちなかステーションに実際に寄せられた相談事例をもとに誰にでも起こりうる身近なテーマを題材にケーススタディをしていきたいと思います。
遺留分とは、遺言などによっても侵すことのできない法定相続人固有の権利であって、本来受け取ることのできる相続分の二分の一を受け取ることができる権利とされており、どこかで一度くらいは言葉だけでも聞いたことのあるという方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんの知識は本当に正しい、そしていざという時に使えるものでしょうか。まずは、今月もテーマに関わる出題をしますので皆さんも一緒に考えていきましょう。
次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。
【設問】
親兄弟も皆すでに亡くなっており自らは生涯独身を通したAは、同居の内縁の妻に全財産を相続させるとの遺言を残して先月亡くなった。ところが、これを知ったAの甥姪ら数人は、自分たちには遺留分があるとして内縁の妻に対し遺留分相当額の金銭を引き渡すように求めている。このような場合において、甥姪らの主張は認められる。
さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?
まず、(1)Aの相続人は誰になるのか考えてみましょう。Aは生涯独身を通したということですから配偶者も子もいないため、直系尊属が第二順位の、兄弟姉妹が第三順位の相続人となりますが、本問では親兄弟もすでに亡くなっているとあるため、兄弟姉妹の子である甥や姪がいればその者たちが代襲相続人となるため、甥や姪は法定相続人であると言えます。しかし、(2)遺留分は、兄弟姉妹を除く法定相続人に認められているため、兄弟姉妹の子である甥や姪にも遺留分は認められません。したがって、本問でも、甥や姪らの主張は認められず、内縁の妻は遺言書の記載通りに全財産を受け取ることができると考えます。
以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。
【相続相談の現場から 3 ~ 遺留分にまつわるあれこれ?! ~】
あちこちで相続に関するセミナー等が行われていますが、その多くは小手先の節税対策に割かれており、人間関係を壊さずに速やかに円満に相続手続を終えることをテーマにしたものは少ないように感じています。
特に、遺言書に対する関心が高まってきていることは専門職としては喜ばしいのですが、しばしば遺留分に全く配慮しない遺言書を見かけることがあります。遺言書がある以上、法定相続分より多く相続する人と法定相続分よりも少なく相続する人がいるのは当然のことですが、遺留分を全く無視した遺言書は後々相続人間に大きなトラブルを引き起こす原因となることがあります。せっかくの遺言書が無駄にならないためにも、弊事務所では遺留分に配慮した遺言書を作成されることをお勧めしています。
遺留分に配慮した相続を争続にしない遺言書を見てみたい! いますぐまちなかステーションに相談する
今日のポイント 「遺留分にまつわるあれこれ」
1 遺留分減殺請求権が認められるのは、兄弟姉妹を除く法定相続人
→ 兄弟姉妹はもちろん、代襲相続人である甥や姪も認められない
2 遺留分が認められるのは法定相続分の2分の1
3 もしも、遺言書を作成するときは遺留分への配慮を忘れずに
番組出演の感想
今回のテーマは『相続相談の現場から 3 ~ 遺留分にまつわるあれこれ?! ~』でしたが、遺言書への関心が高まる一方で、遺留分に全く配慮のない遺言内容が新たな相続トラブルの引き金となることが今後増加していくのではないかと感じておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には私たち法律専門職に対しても相談することの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聴きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。