親や配偶者に遺言を書いて欲しい? まずはあなたから公証役場へ!
全部を法律どおりに分けるのがいいのではないか。法律に書いてあるのだから、それに従うことが一番公平であり間違いもないはずだ。
相続が開始し、誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議に場面において、このような言葉を正しいと信じて疑わずに声高に主張する方をしばしば見かけることがあります。でも、ちょっと待ってください。法律に書いてあることに従ってさえいれば、あらゆる相続の場面において本当に公平な結果をもたらすでしょうか。
ご存知の方も多いかもしれませんが、誰が何を相続するか、その割合は『法定相続分』として民法に規定されています。例えば、配偶者と子どもが相続人である場合には、相続財産の半分を配偶者が、そして残りの半分を子どもが等分で相続すると決められています。一見すると、とても公平で合理的な内容に見えなくもありません。では、いったいどこに何の問題があるというのでしょうか。
確かに、ある一時点において被相続人が残した財産を分けるということだけに着目すれば、法で定められた割合に従って分けることが一番公平で合理的と言えるのかもしれません。
しかし、人間関係、特に親族関係というのはある一時点だけを見ればいいというものではありません。人生には、子育てから結婚、療養看護や介護、葬儀や埋葬に永代供養と様々なステージがあり、親族関係では長年にわたる負担の積み重ねの側面もまた十分に考慮される必要があるのではないでしょうか。そして、これらの負担は様々な経緯や事情を考慮したとしても、親族の間で完全に等分することなど不可能でしょう。各人によって、負担に軽重が出てしまうのは仕方のないことかもしれません。だからこそ、民法でも特に相続の場面では、時には法律の規定を後退させてでも、各相続人の譲り合いや合意によって自主的に解決することが認められています。
いつかあなたがこの世を去った後で、あなたの大切な人たちが欲の塊と化して不毛で醜い争いを繰り広げることになってしまうのか、それともお互いの立場を気遣いながら少しずつ負担と不満を引き受けて円満な親族関係を続けていくのか。もしも、願いが叶うとしたらあなたはどちらを望まれますか。
もしも、後者を望まれるようでしたら、この機会にあなたのこれまでの人生の棚卸をされてはいかがでしょうか。また、同時にあなたの今後の人生における療養看護や介護、葬儀や埋葬などについても現実から目を背けることなくしっかりと向き合ってみてください。親族の中でも、特にどなたに中心になって負担を引き受けてもらいたいのか。そして、負担の中心となる方が他の親族の皆さんから信頼と協力を得るためにはどうしたらいいのか。あなたがこの世を去った後で、あなたの大切な人の心をひとつにまとめることができるのはきっと法律の規定ではありません。あなたの想いと配慮がたくさん込められた遺言書だけではないでしょうか。
代表 加藤俊光が42歳の時に書いた想いを伝える遺言書を見てみたい! いますぐ まちなかステーションに相談する
これからも私は、遺言者の想いと願いが理解できる法律専門職として、ひとりでも多くの方に『残された家族が争わないための想いを伝える遺言書』のご提案をし続けていきます。