相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が雑誌に掲載されました
街のあちこちにアジサイの花がきれいに咲いている午後でした
6月も後半に入り街のあちこちにきれいなアジサイが見られる季節となりました。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚でも梅雨時のうっとおしい気分を和ませてくれるきれいなアジサイをあちこちで見ることができますが、梅雨真っ只中の6月18日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 ~ 相続の基礎知識 その3 寄与分 ~
このコラムをお読みの方の中には、ご自分で実際に相続を経験したという方はあまり多くないかもしれません。そして、寄与分という言葉も皆さんにはあまりなじみのない言葉かもしれません。そして、私ども法律専門職の経験から申しますと、この『寄与分』については一般市民の間において相続開始後にどこかで誰かに聞いた、あるいはご自分で慌ててお調べになってかなり誤解・誤認されている相続用語のひとつであると考えています。そこで、ぜひ一般の方のために寄与分に対する正しい情報をご提供したいと思いますが、まずは恒例の相続・遺言に関する基礎知識の確認をすべく、番組パーソナリティの滝島幹和さんに答えていただくところから始めてみました。
【設問】
次の、相続や・遺言に関する記述は、正しいか間違っているかを答えてください。
(1) 相続人である長女は、父親と同居し近所でも評判になるくらいの献身的な介護をして
きた。このような事情がある場合、父が亡くなり相続が開始した後には長女には相続分
の上乗せとしての寄与分が認められる。
(2) 長男の妻は、長男に先立たれた後も10年以上にわたって義父の身の回りの世話をし
てきた。このような事情がある場合、この長男の妻には特別に寄与分が認められること
がある。
(3) 寄与分は法律で割合が定められておらず、相続開始後に相続人による話し合いで決め
るか、話し合いで決められない場合には裁判所に判断を求めるほかない。
さて、各々の設問は正しいでしょうか、それとも間違っているでしょうか。
まず、(1)寄与分は、法定相続人の中で被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与があったとみなされる場合において、相続人間の公平を図る制度である、と考えることができます。そして、親族間には相互に扶養の義務がありますので、一般的な介護の場合においては心情的には認めたいところですが寄与分として認められるケースはほとんどありません。また、(2)寄与分が認められるためには相続人であることが大原則ですので、設問のような長男の妻のように法定相続人に当たらない場合には、寄与分が認められることはありません。さらに、(3)寄与分は、法定相続分や遺留分と異なり民法に割合の定めがないため、相続人による話し合いで決めるかまたは相続人の協議で整わない場合には裁判所に申し立てて決めてもらうしかないことになります。
以上より、(1)と(2)は誤りであり、(3)は正しいと言えるでしょう。
【寄与分について】
冒頭でも述べましたが、ご自分が相続人となって他の相続人と話し合いがをした経験のない方は、『寄与分』については自分とは関係のない話であるという認識の方が大半ではないでしょうか。しかし、いざ相続人となって遺産分割協議がうまくいかない場合に、どこかで誰かに聞いた知識あるいはご自分で慌てて調べてみたものの誤解や思い違いをされているという方を見かけることがあります。つい先日ですが、相続まちなかステーションにご相談においでになられた方の中にも、『母が亡くなり相続が開始したのだが、これまで何もしなかった兄が法定相続を主張している。私には寄与分があるから兄の主張など認められませんよね』とおっしゃる方もいらっしゃいました。
そこで、知っておきたい寄与分のポイントや注意点をいくつか挙げてみました。
(1)寄与分は、法定相続人の中で被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与があった場合に
認められる制度 → 相続人間の公平を図る
→ 通常期待される介護などでは寄与分は認められないことが多い
(2)寄与分は民法で具体的な割合を定めていない
→ 当事者の話し合いで決めるか、まとまらなければ裁判所に判断を仰ぐしかない
番組出演の感想
今回のテーマは『相続の基礎知識 その3 寄与分』でしたが、あまり一般の方にはなじみのない用語のためか、誤解や思い込みの多いことを日頃から感じ取っておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には私たち法律専門職に対しても相談してもらうことの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
相続人でうまく寄与分の話し合いができない?! 相続まちなかステーションに相談する
来月以降も、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、滝島幹和さん、山田博康さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。