あなたが終末期に向きあうとき、私はあなたの隣で一緒に考えながら支え続ける法律専門職でありたい
私は、これまでいろいろなところで『最期に家族に迷惑をかけないために、元気なうちから老後の準備をしましょう』と申し上げてきました。
ところが、先日ある男性の方から『どうして迷惑をかけたらいけないのですか。家族なのだから、迷惑をかけたっていいじゃないですか』と言われました。
確かに、現実問題として人がたったひとりで最期を迎えることは極めて難しいことでしょう。息を引き取る直前はもちろんですが、その後も葬儀や埋葬をはじめ様々な事務処理など、自分ではどうすることも出来ず結局は誰かの手を煩わせなければならないのですが、わが国ではこれまで多くの場合に血のつながりのある家族がそれらを担ってきました。
しかし、少子高齢化社会が急速に進み、また人々の価値観も多様化・複雑化してくると、血のつながりのある家族であっても大きな負担となるばかりか、時にはそれらを担うことが困難になることがあるかもしれません。そんな状態でさらに本人の要望が分からないとなれば、家族は途方に暮れてしまうことでしょう。
あなたは、人生の最期が近づいてきたときに、どこでどのような介護や医療を受けたいですか。また、あなたがこの世を去るにあたっての葬儀や埋葬はどのようにしてほしいのでしょうか。そして、それらの要望を実現するための金銭的・時間的・精神的・肉体的な負担は、家族の中でも誰に中心となって負担してほしいですか。それらは、あなたが考えるべきことなのでしょうか、それとも家族が考えるべきことなのでしょうか。
家族だからそんなこと言わなくても分かるだろう、そのように考える方が多いようですが、本当にそうでしょうか。そんなあなたは、本当に親兄弟、配偶者や子どもたちの心の奥底まですべて理解していると自信を持って言い切れますか。
家族だからこそ迷惑をかけてもいい。心から信頼し合い、理解し合っている家族ならば、迷惑をかけられてもきっと受け止められるはずだと、私も思います。でも、せめて迷惑をかけてしまう家族にはあなたの要望と配慮の気持ちをしっかりと伝えてあげてもらえませんか。あなたの想いがきちんと伝われば、家族の皆さんはきっと迷惑に感じるのではなくて、あなたに対する感謝と尊敬の気持ちをもってあなたの旅立ちを見送ることができると思うのですが。
これからも私は、この街に生きる人々の想いと願いが理解できる法律専門職として、ひとりでも多くの方に『あなたの想いを大切にしながら家族の絆を守る遺言書』のご提案をし続けていきます。