相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が雑誌に掲載されました
今月の放送は、スタジオの中でも外でも卒業式シーズンを実感した放送でした
ようやく春らしくなってきた3月ですが、今年は数十年ぶりに平塚も2度も大雪に見舞われたせいか、ひなまつりが過ぎても寒い日が続きようやく春が近づいてきた感があります。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚もあと少しで桜が咲きそうな気配ですが、そんな春の訪れが待ち遠しい3月20日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』(平塚市代官町・OSC湘南シティのサテライトスタジオで行われたに生放送)にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 ~ 遺言を書くタイミング ~
さて、今月は年度末ということで、これまでを振り返ってもう一度やっておきたいテーマを取り上げてみてはどうかと、山田博康パーソナリティーからご提案をいただきました。そこで、ぜひ一般の方にご自分のこととしてお考えになるきっかけをご提供したく『遺言を書くタイミング』について、なるべく事例を用いながらわかりやすくお話をしたいと思いますが、まずは恒例の相続・遺言に関する基礎知識の確認をすべく、番組パーソナリティの小林和恵さんに答えていただくところから始めてみました。
【設問】
次の相続・遺言に関する記述のうち、正しいものはいくつあるか。
(1) 18歳未満の者が遺言書を書いたとしても無効である。
(2) 文字を書くことのできない者が自筆証書方式による遺言書を作成しようとする
場合において、弁護士や行政書士などの法律の専門家に代筆を頼むことも認めら
れる。
(3) 公正証書による遺言書を作成したが、その後内容を変更する必要が生じた。
この場合、新たに作成する遺言書は必ずしも公正証書による遺言書でなくとも構
わない。
(4) 遺言書には、『母の介護を責任をもって引き受けることと、7回忌が終わるまで
の仏事を執り行うことを条件に全財産を相続させる』というような条件を付けるこ
とも認められる。
さて、正解はいくつあるでしょうか。
まず、(1)民法は『15歳になれば遺言能力がある』としていますので、18歳未満でも単独で遺言をすることは可能です。また、当然ですが、この場合でも親権者等の同意などは一切不要となっています。また、(2)自筆証書による遺言書を作成する場合には、全文と日付を自書で作成し署名をすることが要件となっており、いかなる理由があっても代筆やパソコン等による作成は認められていません。そして、(3)一度作成した遺言を撤回・変更する場合には新たな遺言を作成することで行われますが、自筆か公正証書かというのはあくまでも方式の違いによるものであって法的効力に上下関係や差異はありませんので、公正証書による遺言書を自筆による遺言書で撤回・変更することも当然可能です。さらに、(4)遺言書には、法や公序良俗に反しない限度で、条件や期限なども付けることができることは言うまでもありません。
以上より、(1)、(2)は誤りであると考えられるため、正解は(3)と(4)の2個となります。
【遺言を書くタイミングについて】
最近の終活ブームの中で、遺言に興味や関心を持たれる方が増えており、相続・遺言の法律専門職としてとても喜ばしいことと感じております。そして、相続まちなかステーションに持ち込まれるご相談でも、遺言書が最良のトラブル予防策と考えられるため遺言書の作成をお勧めするのですが、『まだ、早い』あるいは『うちはたいした財産もないし、子どもたちもみな仲がいいから』などど皆さん異口同音に遺言を書きたくない理由を述べられるのが現状です。
そして、そんなことをしているうちにご本人が亡くなってしまう、あるいは認知症がかなり進行してしまい遺言書が書けなくなっているケースを私はいやというほど見てきました。きちんとした遺言書を書くことで不毛・無用な相続トラブルをほぼ事前に回避できること、遺言書は一度書いたとしても何度でも生活の変化に合わせて書き直していくことができることを、ひとりでも多くの方に知っていただくことを願い、私は生涯をかけて発信し続けていく所存です。
そこで、遺言書を書くタイミングをいくつか具体的に挙げてみました。
(1)思い立ったが吉日ということわざ通り、遺言書はそのうちにではなく
書こうと思ったら、今月中にあるいは今年中に書いてしまいましょう。
(2)離婚・再婚経験のある方は相続トラブルの危険性が増大します。
40歳を過ぎたら夫婦で遺言書を書くようにしましょう。
(3)そうでなくとも、サラリーマンの方であれば定年を過ぎたら、またお子
さんが全員独立されたら、遺言書を書くいい機会ではないでしょうか。
番組出演の感想
今回のテーマは『遺言を書くタイミング』でしたが、昨今一般の方の興味や関心が高いにもかかわらずご自分のことと捉えることのできない方が多いことから、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに判断に迷った時にはご自分で判断なさらずに早めに私たち専門家に相談してもらうことの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
また、番組スタッフの小泉麻子さんが今月いっぱいで退職されるとのことで、希望と感謝の気持ちを忘れずに、そしてご自分に自信をもって新しい世界に羽ばたいていってほしいと願わずにはいられませんでした。
来月以降も、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、小林和恵さん、山田博康さん、ナパサの小泉麻子さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。