相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が朝日新聞に掲載されました
近頃、必要以上に相続増税をあおるセミナーや記事広告を目にしませんか?
2015年1月からの相続増税を目前に、あちこちで様々な人たちが相続税対策の必要性を訴えています。
確かに、基礎控除額が4割縮小されることにより、これまで相続税を納める必要がなかった人が一定程度増加することが見込まれます。不動産会社や金融機関の広告などを見ていても、どこかの試算を持ち出しては『相続税の課税対象者が倍増する』といって危機感をあおっているようですが、実はこれには大きな誤解があることをご存知でしょうか。
なぜなら、これまで相続税を納めていた人は、全体の3~4パーセントであり100人中3~4人と言われていました。とすれば、課税対象者が倍増したとしても相続税を納める必要のある人は7~8パーセントと考えられますから、多く見積もってもせいぜい100人中7~8人程度であり、実際のところ10人に1人もいないことになります。10人中9人以上の方はこれからも相続税の課税については対象外ですから、おそらく大半の庶民にはあまり関係のない話というのが事実なのです。
それにもかかわらず、なぜ一般庶民に対して過剰なまでの相続税対策をあおる広告や記事が氾濫しているのでしょうか。
相続増税が一大ビジネスチャンスというのはあくまでも企業の論理
相続増税の決定を機会に相続ビジネスへの参入が急増しています。
確かに、一般の方が相続を身近に考えるきっかけを提供してくれているという側面を考えればいいことなのですが、不必要な危機感をあおり相続対策と称して不要な商品・サービスを購入させようという意図が隠れているとしか思えないものも見受けられます。
先日、ある週刊誌を読んでいたところ、都心のタワーマンションを購入することが相続対策だと書かれている記事を目にしました。タワーマンションのような何百戸もある大規模マンションでは一戸当たりの土地持ち分が小さくなるので、郊外に一戸建てを持っている場合に比べて相続税評価額を半分まで落とすことができるので節税になるというものでした。
なるほど、相続税評価額を圧縮することができると聞けば誰しも魅力的に感じるのも無理はありません。ただでさえ、消費増税もあり社会保障費の負担も上がる現代においては自分にも関係があるのではないかと願いたいお気持ちはよく分かります。
しかし、相続増税に伴い小規模宅地の特例範囲は逆に大幅に増加し、100坪までの土地であれば相続税評価額を8割減らすことができるようになりました。とすれば、ごく普通のサラリーマンの方で、一般的な規模の土地・建物といわゆる退職金などの預貯金だけが相続財産であれば、相続税は今後もまずかかることはない、あるいはもしかかったとしてもごくわずかであると私は断言できます。
ここだけの話ですが、タワーマンションは高層階は人気が高く買い手はいくらでもいるそうですが、逆に低層階になると人気が低く少々価格を安くしたくらいではなかなか買い手がつかないと聞いたことがあります。タワーマンションの購入は、本当にあなたにとって最良の相続対策なのでしょうか。相続対策をダシにしてなかなか売れない低層階を買わされてしまっていませんか。マンション販売業者と業者の言いなり税理士やFPにとって都合のいいお客さんになってはいませんか。
なかなか売れないタワーマンションの低層階を持て余している販売会社と、相続を足し算引き算の場としか考えられない業者の御用専門家の助言など、庶民にとっては百害あって一利なしと断言できます。売れずに困っているタワーマンションの低層など、それこそ何億も何十億も資産を持っているお金持ちが『相続税対策』として購入してあげればいいことであり、いわゆる庶民がなけなしのお金をはたいてまでやることではありません。くれぐれも惑わされることのないよう落ち着いた行動を呼びかけたいものです。
庶民には庶民のための相続対策がある
一方で、相続税と異なり相続が発生した場合ほぼすべての方にかかわる重要な問題があることを、皆さんは本当にご存知でしょうか。
それは、遺言がない場合、誰が何を相続するかの話し合いを必ずしなければならず、この過程を避けることのできる方はひとりもいないということです。
近年では、家庭裁判所への遺産分割調停申立が年間1万件を超えています。そして、その7割が遺産総額が3000万円以下であり、大半が不動産とわずかな預貯金のみというケースだそうです。
相続が発生するのは、残念なことに子供の教育費や住宅資金などちょうど人生でもっともお金がかかる年代です。また、長引く不況や将来への先行き不安等で、人生でまとまったお金を手にするのは相続くらいという40~50代の方も増加の一途をたどっています。そんな中で、相続を契機にまとまったお金を手にする機会に遭遇すれば、冷静な話し合いによる譲り合いよりも感情的な対立から権利の主張がどうしても強くなってしまい相続トラブルへと発展してしまうケースが急増しています。
遺産分割協議は財産の分配という側面もありますが、それ以上に、これまでの事情や経緯、介護や療養看護に対する慰労的意味合いにおける分配、今後のお墓を守っていく責務への対価的意味合いにおける分配といった、様々な不満や負担を調整する側面もあるのです。
こういう金銭的解決になじまない庶民特有の問題こそ、本当の意味での相続対策が必要なのですが、残念ながら大手不動産会社や大手金融機関等で開催されているセミナーではほとんど取り上げられず、目先の相続税がいくら少なくなるかといった小手先の一面的な相続対策ばかりが取り上げられているのが現状です。
かかるかどうかも分からない相続税の心配などをするよりも、あなたがこの世を去った後で、あなたの大切な人たちが万が一にも不毛で醜い争いをすることなどないように、あなたが今できることはいったい何でしょうか。
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私は、当事者の話し合いで相続問題を速やかに円満に解決する方策を年間で100人以上の方にご提供している相続・遺言の法律専門職です。開業以来、この4年間で経験した庶民の相続の現場とトラブル事例を余すところなくお話ししながら、あなたにとって最良の相続対策をご提案させていただきます。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。