コラム
あいまい・ドサクサ・なし崩しという手法では決して共感は得られません
2014年1月9日 公開 / 2018年9月21日更新
昨年は、政権与党による乱暴な国会運営が目立ちました。特に、国民の声を無視して強行採決をした後で、『もっと丁寧に説明すべきだった』などとうわべだけの反省の姿勢をみせられたところでにわかには信用しがたいと考えているのは私だけではないと捉えています。
そもそも、政治の世界は『妥協と合意』の連続です。複雑に利害や感情が絡み合う問題に対して、イエスかノーかと拙速に答えを求めたところで決して解決策を見出すことはできませんし、合意形成など不可能というほかありません。反対意見にも謙虚に耳を傾けながら丁寧な対応をしなければならないのですが、現政権の『あいまい・ドサクサ・なし崩し』という手法を用いながら最後は数の力で押しきってしまう稚拙な対応を見るにつけ、本当に調整能力と忍耐力のない政治家が増えたことに一介の法律専門職としてこの国の行方に大きな不安を感ぜずにはいられません。
そんな『あいまい・ドサクサ・なし崩し』の手法ですが、いま遺産分割協議の場面でもしばしば見られるようになってきたことに非常に危惧感を抱いています。
人が亡くなると、必ずその瞬間に相続が発生します。そして、遺言書がなければ誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議をしなければならないのですが、残念なことに当事者だけでこの話し合いを冷静に進めることができる方は年々少なくなっています。自分本位な考え方で相続財産を独り占めしようとまったく話し合いに応じない人や、相続財産がいくらあるのかさえ他の相続人には教えようとしない人、さらには話し合いすらしていないのに勝手に遺産分割協議書を作成して他の相続人に強引に署名・押印を迫るというやり方をする人さえ見かけます。さらに、このような人の片棒を担ぐ法律専門職まで現れる有り様で、これが相続トラブルを急増させている最大の原因にもなっています。
確かに、それまでの経緯や事情は様々あることでしょうし、また介護や埋葬などすべての問題を法定相続分どおりに割り切るわけにはいかないこともよく理解できます。しかし、遺言がない以上は法定相続が原則であり、そこから話し合いを始めるのがいわばルールなのです。『あいまい・どさくさ・なし崩し』といった手法では到底当事者の話し合いによる円満な解決などできるはずもなく、不信感が芽生えて早晩どうにもならないところまでこじれてしまうことは目に見えています。まずは相続財産をすべての相続人に明らかにし、これまでの経緯や事情を遠慮なく相続人全員に話してもらったうえで、最後はお互い譲るべきものは譲る、一見遠回りに見えるかもしれませんが当事者の話し合いによる円満解決を望むのであればこの方法しかないと、これまでの実務経験から自信を持って断言できます。
だからこそ、これからも私は、当事者の話し合いで円満に相続問題の解決ができる法律専門職として、ひとりでも多くの方に『公明正大・丁寧・納得の上での妥協に基づいた遺産分割協議』のご提案をし続けていきます。
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