相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が雑誌に掲載されました
今月の放送は、家族の平和について考える記念日でした
今年の夏は、全国のあちこちでこれまで経験のない高い気温と局地的な大雨が続いています。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚もここ数日30度を超える猛暑日が続いていますが、雨がほとんど降らないため夜になっても窓の外から入ってくる風に涼しさを感じることができないでいます。そんな旧盆の真っただなかの8月15日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』(平塚市代官町・OSC湘南シティのサテライトスタジオで行われた事前収録)にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 ~ 相続の基礎知識Ⅳ 特別受益 ~
5月から『相続の基礎知識』を改めて学んでいきましょうということで、第一回目は相続人と法定相続分、第二回目は遺留分、そして先月は相続放棄と限定承認を取り上げてきました。今月も一般の方の間でもかなり誤解や思い込みが多いテーマである『特別受益』について、なるべく事例を用いながらわかりやすくお話をしたいと思いますが、まずは恒例の相続・遺言に関する基礎知識の確認をすべく、番組パーソナリティの小林和恵さんに答えていただくところから始めてみました。
【設問】
次の相続・遺言に関する記述のうち、正しいものはいくつあるか。
(1) 公正証書による遺言がある以上は、たとえ相続人全員の同意があったとしても
遺言の内容と異なる遺産分割をすることは認められない。
(2) 男三人兄弟のうち、長男だけが大学に進学させてもらった場合、その事情だけ
をもって特別の贈与を受けたとみなされる。
(3) 相続人のうち、長男だけは結婚するにあたって家を建ててもらった。この場合
に相続が開始した後において、この家を建ててもらったことが特別の贈与として
みなされることがある。
(4) 相続人のうち、長女だけは結婚するにあたって特別に600万円の現金を受け取っ
た。このような事情がある場合に、もはや被相続人は相続財産のほとんどを長女に
相続させるという内容の遺言を作成することはできない。
さて、正解はいくつあるでしょうか。
まず、特別受益とは、婚姻や養子縁組によって贈与または遺贈を受けた場合において、のちに相続が開始した際にはその贈与や遺贈が相続財産の前渡しとしてみなされてしまう制度と理解しましょう。とすれば、(3)結婚するにあたって家を建ててもらうことは、まさにこれにあてはまりますので、特別の贈与として相続財産を前渡されたとみなされることがありますが、(2)兄弟のうちで長男だけが大学に進学させてもらったとしても、それだけでは特別の贈与を受けたとはみなされないと考えられます。さらに、(1)たとえ、遺言があったとしても相続人全員の同意があれば遺言内容と異なる遺産分割をすることは認められていますし、(4)遺留分や特別受益を無視した遺言も、それだけでは無効になることはありません。
以上より、(1)、(2)(4)は誤りであると考えられるため、正解は(3)の1個となります。
【特別受益について】
先月の相続放棄でもお話しをしましたが、特別受益についても同様に、相続まちなかステーションにご相談に来られる方々を見ていると、かなり誤解や思い込みが多い分野であると言ってもいいくらいかもしれません。
そして、そのような誤解や思い込みが相続人同士の感情的対立を招くばかりでなく、ひいては不毛・無用な相続トラブルに発展し、時間的にも金銭的にも精神的にも多大な負担を強いられるケースが急増しています。
そこで、特別受益を正しく理解していただくためのワンポイントアドバイスをしてみました。
(1)特別受益とは、婚姻や養子縁組によって贈与や遺贈を受けていた場合において、
(2)相続開始後における遺産分割の際に、その贈与や遺贈が相続財産の前渡しとみな
されることで相続当事者間の公平を実現する制度である。
(3)ただし、何が特別受益にあたるかは一義的ではなく、当事者の個々の事情や経緯
によって個別に判断されることがあるため、ご自分で判断されずに専門家への相談
をお勧めします。
番組出演の感想
今回のテーマは『相続の基礎知識Ⅳ ~ 特別受益 ~』でしたが、関心の高い分野でありながらも誤解や思い込みが多い分野であることから、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに判断に迷った時にはご自分で判断なさらずに早めに私たち専門家に相談してもらうことの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
来月も相続の基礎知識についてケーススタディをしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、小林和恵さん、山田博康さん、ナパサの小泉麻子さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。