親や配偶者に遺言を書いて欲しい? まずはあなたから公証役場へ!
先日、保育園に通う息子と公園に出かけたところ、大きな木の下で土の中から出てきたばかりと思われるセミの幼虫を見つけました。この地域もすっかり都市化が進んでしまい、街のいたるところがコンクリートに覆われてしまいましたが、運よく土の中から出てくることの出来たセミを見ながら、短い夏の日々を元気に過ごしてほしいと願うばかりです。
毎年、この時期になるとマスコミをはじめ、あちこちで平和を考えようという気運が高まるようです。68年前の夏を生きていた方々は、きっと暑さなどを気にする余裕すらなく、死をあまりに身近に現実的なものと受け止めざるを得なかったに違いありません。しかし、明日がどうなるかわからない状況の中にあっても、きっと一人ひとりはそれぞれの場所で一日一日を大切にしながら懸命に生きていたことでしょう。
そんな私たちも、一昨年に大変な震災を経験しました。それまでは、明日が来ることが当たり前に思えていましたが、そうではないという現実を実感させられました。今日という日を精一杯生きなければならないことや、大切な人にありがとうの気持ちを伝えたいときには、今日というこの日に伝えておかなければいけないということを教えられました。
近ごろ終活ブームと言われているようですが、私は『終活』とは『どんなお葬式をするか』を考えてエンディングノートを書くという作業をすることだけでは足りないと考えています。
どんな人にも、それぞれにかけがえのない人生があります。長いことずっと歩き続けてきた人生だからこそ、ふと立ち止まってこれまでの人生を振り返ってみるときがあることでしょう。残り時間はあとどれくらいあるのかはもちろん分かるはずもないけれども、やり残したことや自分の思っていることを伝えそびれていないか。それらを冷静に考えながら、ひとつひとつチェックしていくことこそが終活のスタートであり、人がこの世を去るその時まで終活はずっと続くのではないかと思っています。
いつかこの世を去るその時に、あなたは本当に後悔しないと言い切れますか。また、残されたあなたの大切な人たちを無用な混乱に巻き込み、また多大な負担をかけないと自信を持って断言できますか。懐かしい人が久しぶりに帰ってくる旧盆のこの時期だからこそ、あなた自身もあえてご自分の人生を振り返ってみることを強くお勧めいたします。
これからも私は、高齢者の想いと家族の願いが理解できる法律専門職として、ひとりでも多くの方に『元気なうちから老後の準備を始めること』のご提案をし続けていきます。