遺留分ぐらいはもらわないと?! 残念ですがそれは遺留分の問題ではありませんよ!
今月も、7月28日(日)に無事に無料相談会を開催させていただくことができました。30度を超える暑い日曜日にもかかわらず、ご予約いただいた皆様においでいただいたことにお礼申し上げます。
60代のご夫婦が、ご自分でまとめたと思われるノートのようなものをお持ちになって、お揃いでご相談においでになりました。
相談室にお通ししてお話しをうかがってみると、男性は10年以上前に奥様に先立たれてしまい、女性も20年以上前に離婚をされていて、今から数年前におふたりはご縁があって出会い再婚されたそうです。男性のお子様方は全員が成人され既にそれぞれが独立をしており、また女性のほうは再婚後は前のご主人とのお子様たちとは一切交流もなく、いまではどこで何をされているのか全く分からないとのことでした。そして、おふたりとも60代を迎えたため、以前から今後のことを準備しなければならないとお考えになっていたところに、たまたま朝日新聞生活面に掲載された『お財布サバイバル』の記事をご覧になった知人の方から『平塚駅前|相続・遺言の専門家として紹介された相続まちなかステーション』を教えられて、とりあえずいいきっかけだからとご相談においでになったとのことでした。
そして、お話しをうかがっていくうちに、私はこの男性が大きな勘違いをされていることに気付きました。
もし、この男性が亡くなった場合の相続人は、再婚された現在の奥様と、前の奥様との間に設けたお子様たちということになります。そして、反対に奥様が亡くなられた場合には、相談者である男性と奥様が前のご主人との間に設けたお子様たちということになるのですが、この男性はなぜか奥様の兄弟姉妹が相続人になると思い込んでいたのでした。
そこで、私は、まずは正しい法定相続人となる関係者をご説明して、この男性の誤解を解きほぐすことにしました。そして次に、想定される事態や実際にどのようなトラブルが起こっているか事例を挙げて、思いがけないトラブルや残された方々に無用な負担をかけないためにも、この機会にご夫婦が一緒に公正証書による方式によって遺言を作成されることをお勧めしました。
もっとも、ご夫婦が一緒に遺言を書くといっても、現在の法律では夫婦が連名で1通の遺言書を作成した場合には無効となってしまいますので、ご夫婦それぞれが別々に遺言書を作成しなければならないことも忘れずに強調し、私が考える最善の予防策をご提案して面談を終了いたしました。
まだまだ日本人にとって遺言を書くということは一般的なことではないのかもしれません。しかし、きちんとした遺言さえあれば、不毛で無用な相続トラブルはほぼ回避できますし、安心して日常生活を送ることができるということをひとりでも多くの方に知っていただきたい。特に、離婚・再婚経験のあるご夫婦は、一刻も早くきちんとした遺言書を書かれることをお勧めします。あくまでも私見ですが、離婚・再婚の双方に子がある場合には、40代でも遺言書を書くことは決して早くないとさえ思っています。離婚・再婚は親の自由・権利ですが、それによって不毛で醜い相続トラブルに巻き込まれる子はいい迷惑ではありませんか。離婚・再婚をされた親の責任として、きちんとした遺言書を準備されることを強くお願いする次第です。
ひとりでも多くの方に、もっと気軽に遺言を書いてもらいたい。だからこそ、私自もすでに42歳で遺言書を書きました。弊事務所にお越しいただければ、私の遺言原案を実際にお見せしながら、不毛な争いを防ぎながら自分自身の思いを伝える遺言書とはどのようなものかをゆっくりご説明させていただきます。
加藤俊光が書いた遺言書を見てみたい方はこちら
これからも私は、遺言者の想いを理解できる相続・遺言の法律専門職として、ひとりでも多くの方に相続を争続にさせないために自らの体験を踏まえた『争わないための遺言書』のご提案をし続けていきます。