相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が朝日新聞に掲載されました
今月の放送は、例年にない早い梅雨明け直後の猛暑日でした
今年は例年にない早く梅雨明け宣言が発表されましたが、相続まちなかステーションのある神奈川・平塚もここ数日30度を超える猛暑日が続いています。夏休みも近づく炎天下の中、今月も7月18日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』(平塚市代官町・OSC湘南シティのサテライトスタジオで行われた事前収録)にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 ~ 相続の基礎知識Ⅲ 相続放棄と限定承認 ~
5月から『相続の基礎知識』を改めて学んでいきましょうということで、第一回目は相続人と法定相続分、第二回目は遺留分を取り上げてきました。今月は一般の方の間でもかなり誤解や思い込みが多い『相続放棄と限定承認』でありなるべく事例を用いながらわかりやすくお話をしたいと思いますが、まずは恒例の相続・遺言に関する基礎知識の確認をすべく、番組パーソナリティの小林和恵さんに答えていただくところから始めてみました。
【設問】
次の相続・遺言に関する記述のうち、正しいものはいくつあるか。
(1) 自分が亡くなったら全財産を長男に相続させたいという要望がある場合には、自分
が生きているうちに他の相続人に一筆書かせることで相続放棄をさせることができる
(2) 昨年亡くなった父親の遺産整理をしていたところ、最近になって多額の借金がある
ことがわかった。この場合、いますぐ相続放棄をすることで借金を相続しなくても済
む。
(3) 生前事業をしており、多額の借金を抱えていると聞いていた父親が亡くなったため
相続放棄をしたがあとで借金はないことが分かった。この場合、相続放棄を取り消す
ことも認められる。
(4) 先月、父親が亡くなったが財産や負債がどのくらいあるか全く見当がつかない。
この場合、プラスの財産がある限度で相続をするという方法によって相続放棄を申し
出ることもできる。
さて、正解はいくつあるでしょうか。
まず、相続放棄は相続開始後3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをすることによって認められます。とすれば、(1)(2)相続開始前に相続放棄をさせることはできませんし、当事者間で一筆書かせる方法によって相続放棄が認められることもありません。また、(3)相続放棄はすべての人に対して主張できる極めて強い効力を持つ以上、いったん相続放棄をしてしまうと撤回や取り消しは脅迫があったなどのごく限られた事情を除いては認められなくなることにも注意が必要です。さらに、相続財産のうちいわゆるプラスの財産と借金などのマイナスの財産のどちらが多いかわからない場合に、プラスの財産の限度で相続をするがもしも借金のほうが多かった場合には相続を放棄するといった、条件付きの相続放棄のような方法も法定相続人全員でなすことを条件に一応認められています。
以上より、(1)から(3)は誤りであると考えられるため、正解は(4)の1個となります。
【相続放棄と限定承認】
相続放棄については、相続まちなかステーションにご相談に来られる方々を見ていても、最も誤解や思い込みが多い分野であると言ってもいいくらいかもしれません。
そして、そのような誤解や思い込みが相続人同士の感情的対立を招くばかりでなく、ひいては不毛・無用な相続トラブルに発展し、時間的にも金銭的にも精神的にも多大な負担を強いられるケースが急増しています。
そこで、相続放棄と限定承認を正しく理解していただくためのワンポイントアドバイスをしてみました。
(1)相続放棄とは、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをするこ
とによって認められるものである
(2)一度なされた相続放棄は撤回や取り消しが極めて困難であり、慎重かつ熟慮が必要
(3)プラスの財産と借金などのマイナスの財産のどちらが多いかわからない場合には、
プラスの財産がある限度で相続するという条件付きの相続放棄をすることも認められ
る(これを限定承認という)。ただし、法定相続人全員でしなければならない点には
注意が必要。
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番組出演の感想
今回のテーマは『相続の基礎知識 ~ 相続放棄と限定承認 ~』でしたが、関心の高い分野でありながらも誤解や思い込みが多い分野であることから、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに判断に迷った時にはご自分で判断なさらずに早めに私たち専門家に相談してもらうことの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
来月も相続の基礎知識についてケーススタディをしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、小林和恵さん、山田博康さん、ナパサの小泉麻子さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。