あなたが終末期に向きあうとき、私はあなたの隣で一緒に考えながら支え続ける法律専門職でありたい
先日、3年ぶりに運転免許証の更新手続きに行ってきました。適性検査も無事に通過し、優良運転者としてこれからの5年間を無事故無違反で過ごさなければならないと、身も心も引き締めている次第です。
ところで、こんな機会でもなければ運転免許証の裏面をじっくりと見ることがないのは仕方のないことかもしれませんが、よく見ると3年前の免許証にはなかった臓器提供意思表示欄が設けられていることに気付いておられる方は意外と少ないのではないかと捉えています。
もちろん、あくまでも記入するかどうかは各人の任意に委ねられていることと思いますが、このように数年に一度は必ず訪れる運転免許証更新のタイミングにおいて、広く一般の方に考える機会を提供することはとてもいいことであり、個人的にはもっと多くの方に関心を持ってほしいと願っています。
もっとも、いくら各人の任意に委ねられているとはいえ、もしもこの臓器提供意思表示欄に記載をしたいとお考えの方はぜひあなたの最期を見届けてくれるであろう方と充分に時間をかけてお話し合いをすることも忘れずに行って欲しいのです。なぜなら、必ずしもあなたの最期を見届けてくれるであろう方にとって臓器移植が受け入れられるとは限りませんし、場合によっては大切な人を失った悲しみの上にさらなる苦悩や、場合によっては後悔の念すらをもたらしてしまう可能性があるからです。
そして、このことは何も臓器提供における意思表示の問題だけに限ったことではありません。人は誰しも、生命も健康も決して永遠に続くものではありません。いくら感情的に認めたくないとしても、残念ながら誰もが絶対に避けることができない事実なのです。
だからこそ、今後の自分自身に起こりうることを正面から認め受け入れて、出来る限りの準備を始めてみることが必要ではないでしょうか。あなたは、余命が残り少なくなったときにどこでどんな医療を受けたいですか。あなたが、この世を去ったあとの葬儀や埋葬はどのようにして欲しいですか。また、残されたあなたの財産は誰にどのように分けて欲しいですか。そして、これらの様々な事務処理手続をあなたに代わってどなたに中心になってやってほしいとお考えですか。
これらのことについて何らかの要望をお持ちの方は、ぜひあなたが元気なうちに少しずつ出来そうなものからでもいいですから手立てを講じておいてください。あなたが何らの意思表示も残さずにこの世を去ってしまったら、あなたの要望はまず適いませんし、それ以上に残された人たちは大変な負担と混乱を引き受けることになりかねないからです。
これからも私は、高齢者の想いを理解できる相続・遺言の法律専門職として、ひとりでも多くの方に元気なうちから老後の準備を始めることのご提案をし続けていきます。